共通テスト「古文・漢文」の基本を攻略するコツ 変わる入試に受験生はどう立ち向かうべきか?
「大学入学共通テスト」で検討されていた「国語」の記述問題は、当面、実施が見送られることになりました。その結果、現代文・現代文・古文・漢文で80分となり、「センター試験」と同じ形式に落ち着きました。しかし、その内実はかなり変わってくるとみるべきです。まずは、「センター試験」と「共通テスト試行調査」とを比較してみます。
「センター試験」古文の特徴
国公立大学のための「共通一次」から、私立大学も使える「センター試験」になったのは1990年。一時期は教科書との重複を避けたマイナーな出典が選ばれ、受験者の点数をばらつかせるためか、長文の難問が出されていました。
ここ10年はそれほどではありませんが、分量は平均1300字前後あります。標準的な私大が約800字であることを考えれば、かなり長いうえ、説明問題や内容合致問題の選択肢も150字程。これを20分強で解くのですから、私大よりもずっとスピードの必要な入試問題だったと言えます。
「共通テスト試行調査」古文の実態
2018年と2019年には、「共通テスト」のための「試行調査」が行われました。
2018年では、『源氏物語』を書き写した際の本文の違いが話題とされています。本文の違いが何を生み出すのか、あるいはどちらがより優れた本文なのか、という問題は、文学部でもかなり専門的な研究領域で、とうてい20分程度でできることではありません。
「試行調査」側もそう考えたのか、一方の本文を書写した当人がその本文に決めた事情を述べた文章を並べることで、2つの本文をある道筋で読ませる工夫がなされていました。しかし、都合3つの文章(計1200字弱)を読むことになり、分量はかなり多くなっています。
2019年では、『源氏物語』に用いられた「引き歌」と呼ばれる表現技法が問われました。「引き歌」とは「古歌の引用」で、重層的な表現効果を生むものです。古歌の正しい理解が前提になるため難度が高く、出題頻度も低い技法です。「試行調査」では、教師と生徒が引き歌の説明やその表現効果について議論する現代文を併せて載せ、このやりとりに沿って引き歌の表現効果を理解させる形式になっていました。引用古文の分量はやはり1200字程度でした。