共通テスト「古文・漢文」の基本を攻略するコツ 変わる入試に受験生はどう立ち向かうべきか?
この「試行調査」は、1回目が難しすぎたため、2回目でぐっと難度を下げた印象があります。内容だけでなく設問も、1回目は説明問題が中心で、文法力や語彙力だけで解ける設問がほぼ見られなかったのに対し、2回目では、近年の「センター試験」のように短文の現代語訳問題を数問並べるなど、得点しやすいよう配慮されています。
はたして「共通テスト」本番がこの両者の幅の、どのあたりに着地するのかは予想しがたいところもありますが、「センター試験」との違いとして、次の3点が挙げられます。
2. 選択肢の長さがかなり短くなったこと
3. 「文法」事項を直接問う設問がなくなったこと
このうち、2・3は、易化のための方針と思われますが、その裏面には明らかな難化にあたる1へのこだわりが透けて見えてきます。これは、高等学校において「主体的・対話的で深い学び」の力を目標としていることと対応したものでしょう。
「主体的」な学びを大学入試と関連させる改革はひとまず頓挫している分だけ(e‐ポートフォリオの中止)、「対話的」というテーマが、「国語」の大学入試改革の要点となっているものと思われます。したがって、複数資料を読解させる形式が「共通テスト」の基本と考えてよさそうです。
鍵となるのは「速読力」
同じ分量であれば、1つの文章を読むより3つの文章を読み、比較検討するほうが、時間がかかります。今後、2つの古文だけを並べるものが出題されるかもしれませんが、そうであればなおさら、内容を吟味し判断する時間が必要です。つまり、受験生には、今まで以上に「速読力」が要求されることになるのです。
そのためにまず必要なのは、第3の文章(リード)の要旨を素早くつかみ、その指示どおりに2つの文章を理解する情報処理的能力でしょう。この「情報処理能力」も「国語」で鍛えるべき力として要請されているものです。
もう1つは、品詞分解をし、逐語訳をするという読解スタイルを離れることです。もちろん、文法力と単語力は古文学習の要点ですが、速く読むためには「文構造」からストーリーを捉える姿勢が大事です。主語・述語の対応を的確に押さえ、接続関係を意識して大きな文脈をつかむ癖をつけるだけで読解のスピードは飛躍的に上がります。この読解の姿勢さえ身につければ「共通テスト」もなんら恐れる必要はないでしょう。
【漢文編】
追い込み期を前に、今いったいどれだけの受験生が古典学習に真摯に向き合えたでしょうか。
とりわけ漢文学習は、優先順位が低いと言われています。それは受験生よりも、大人の事情による問題が多いのです。