センター試験の「後釜」に不安が募りすぎる理由 「新テスト」に記述式を導入する意味は何だ?

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私大の難関化につながるかもしれない(写真:Fast&Slow / PIXTA)

改革主導者から相次いだ責任転嫁の”珍発言”

2019年4月4日、大学入試改革に取り組む大学入試センターは、「センター試験」の後継制度として2020年度から始まる「大学入学共通テスト」の2回目のプレテスト(本番を見据えて実験的に行うテスト)の結果を発表した。

特に「国語」「数学」の記述問題に関する課題は山積みで、教育現場からは不安の声も多い。それに対し、改革を推進しなければいけない立場の関係者からは、苦し紛れの”珍発言”が相次いだ。

”山積みの課題”とは、「記述式問題の正答率の低さをどう改善するか」「記述式問題の採点精度をいかに高めるか」「記述式問題の自己採点と実際の点数の不一致をどう解消するか」などである。

4月5日の朝日新聞には、中央教育審議会長として高大接続改革の議論を主導した安西祐一郎氏が「正答率が低いのであれば、それは問題が不適切だからではなく教育改革が進んでいないからだ」「受験生のほとんどが0点であっても問題を変えず、解けるようになるよう、授業を変えることを目指すべきだと思う」などと強弁し、学習者おきざりの制度改革観を露呈した。

記述式問題の自己採点が実際の得点と不一致を起こす問題については、大学入試センターの大杉住子前審議役が「自己採点自体が、思考力・判断力が必要な作業だ」とコメント。それが十分にある受験生なら、せいぜい100字程度の記述式問題などわざわざ解かせなくてもいいはずだ。「自己採点制度自体に無理がある」という苦しい本音が垣間見える。

次ページ「それを言っちゃあ、おしまいよ」という話である
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