共通テスト「古文・漢文」の基本を攻略するコツ 変わる入試に受験生はどう立ち向かうべきか?
学校できちんと漢文学習をしているところもありますが、多くの学校では古文が主となり、漢文学習がほとんどないのも事実であり、漢文講師泣かせな点がここにあります。
1学期のうちに漢文を読むために必要な返り点(中国語の文章を日本語の形にして読むために付けられたもの)や、句形(使役「~させる」受身「~される」疑問「~か?」反語「~か、いやない!」など)といった基本を学び、夏期講習から基本を使いながら読解をしますが、漢文を「学んでいる」と「学んでいない」の大きな差がこの時点で露呈するのです。学校の漢文教育の現状を再考しなければならないでしょう。
学生からの相談の多くに、「漢文を受講したいけれども、親に止められた」というものがあります。受講料を支払う親に反対され、レギュラー授業はもとより、差が露呈する季節講習会まで受講できないでいます。
漢文を受けさせない理由、それは経済的事由による負担軽減のために取捨選択がなされるからです。その取捨の「捨」に漢文が真っ先に選択されるのです。
漢文は句形だけやっておけば大丈夫とよく言われます。いつ誰が言い始めたのでしょうか。この場で断言します。漢文は句形だけやれば満点を取れるはずがありません。例えば今年最後のセンター試験、試行調査の問題を見ていただければ、句形だけで解けるなど無理なことなのです。
しかし、漢文は簡単だから独学でできるがごとき都市伝説が今もあるのは、受験経験のある大人が過去の感覚で話しているからかもしれません。残念ながら漢文は今、句形ができるのは当たり前、それを使ってどう読み解けるかが問われているのです。
中国の古典『礼記』の中に、「教学相長」(教ふるは学ぶの半ば)という言葉があります。「人に教えることは、相手から自分も学ぶことになる」という意味です。しかし、正直これまで話してきた事情を理解しているのかどうか、国語(漢文)の指導者たちの多くは「今の子どもは全然漢文ができていない」と上から目線でいます。
この現代で、漢文が読めないのは子どもたちが悪いのではありません。大人たちがそうさせているのです。しかし教える側が、知っていて当然というスタイルで授業を行うのでは、漢文学習はやはり後回しになってしまうのです。
受験生はどう立ち向かえばよいか
漢文は国語の中で最も覚えることが少なく、必要最低限のことをきちんとやれば、高得点が狙える科目でもあります。しかもこれまでの現状を踏まえたら、漢文をきちんとやっておくことで、人と差をつけられることは明らかです。