日本人が「半沢直樹」をDNAレベルで好きな理由 人気ドラマを"倍楽しむ"ための歌舞伎的視点
半沢の「倍返しだ!」とか大和田暁の「君はもう、おしまいです。お・し・ま・い・death!」「銀行沈没!…… 頭取もチンヴォッツ!!(沈没)」などは「見得」にあたるのではないか。
「半沢直樹」がここまで大人気になったのは、日本人の心に刻み込まれた「芝居好きのDNA」に強く訴えているからだろう。
「半沢」を"倍楽しむ"ための鑑賞法
では、われわれはどんな態度で、現代の歌舞伎である「半沢直樹」を鑑賞すべきなのか。
筆者は、ドラマチックなシーンでは「大向こうの声」をかけてはどうかと思う。
歌舞伎では、役者が見得を切るときには、それをほめる声をかける。単に役者名を言うのではなく、役者がそれぞれ持っている「屋号」で声をかける。
市川團十郎は「成田屋」、尾上菊五郎は「音羽屋」。役者名ではなく「屋号」で声をかけるのが「芝居通」なのだ。
歌舞伎では、「大向こうの声」は誰でも自由にかけていいものではなく、歌舞伎に精通した通人たちが、劇場の上段にある「大向こう(席)」からかけることになっている。でも、テレビ桟敷はそういうルールがないので、自由に声をかければよい。
ただ、役者名をそのまま言うのは芸がない。もともと歌舞伎役者の香川照之(九代目市川中車)は「澤瀉屋(おもだかや)」、片岡愛之助は「松嶋屋」、尾上松也は「音羽屋」と屋号を持っているが、それにこだわる必要もない。
香川照之には「カマキリ!」、片岡愛之助には「紀香旦那!」などはどうだろう? 主人公・半沢直樹の堺雅人は「倍返し屋!」、中野渡頭取の北大路欣也には「お父さん!」などなど。
テレビの前で一人で声を上げているかぎりは、飛沫感染のおそれもない。最終回まで残り少ないが、読者各位も日曜夜9時になれば、テレビの前で「大向こうの声」をかけてはいかがだろうか。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら