オンラインサロンに金払う人が満たす心の奥底 「選ばれた自分」は物語に貢献して成長を果たす

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「自分の物語」を自分で作れないのであれば「誰か」に頼ることもままあるだろう(写真:Fast&Slow/PIXTA)

コロナ禍で新規加入者が急増して賑わうオンラインサロンが話題になるなど、今改めて「コミュニティとしてのオンラインサロン」に世間の注目が集まっている。

部外者からすれば、オンラインサロンではどんなことが行われているか見えづらく、また人気のオンラインサロンは「カリスマ的な人物」を中心に動いていることから、「搾取ビジネス」「宗教・カルト」などと揶揄(やゆ)されることも少なくない。

だが、今後も程度の差こそあれ、オンラインサロンのようなネットワークは拡大していくことだろう。「自分らしくいること」や「自由に振る舞えること」が期待できる身近な人間関係が、日常生活のルーティーンの範囲内ではとても得られない「希少財」になってきているからだ。

魅力は「コミュニティ」「物語性」「自己啓発」

オンラインサロンを魅力あるものにしているのは、主に「コミュニティ」「物語性」「自己啓発」の3つのキーワードにまとめられる。もっと具体的にいえば、「〝選民感〟を刺激する集団への帰属」「魅力的な物語への持続的な貢献」「人間としての成長を促す役割と任務」と表現できるだろう。

人気のオンラインサロンのメンバーになって、実際に商売などで成功するような人も中にはいるが、ほとんどは「コミュニティへの帰属感」や「優れた価値を志向する集団に所属する〝選民感〟」に惹かれ、そこを自分の居場所にすることで満足したりしている。

確かに仲間内でのオフ会が活発なオンラインサロンでは、やりたい仕事だけでなく親しい友人ができる場合があり、それによって心理的な安定を得られることも多い(もちろんメンバーの承認欲求をあおって、労働力と出費をしきりに促すような悪徳サロンもあるが)。いわば新しい関係性を構築するためのプラットフォームを提供する広義のコミュニティビジネスなのだ。

前述の〝選民感〟という言葉に、抵抗をおぼえる人もいるかもしれない。けれども、「選ばれた感」と柔らかく言い換えるとどうだろうか。元来わたしたちは「自分が人と違うこと」を認めてもらいたいと思うと同時に、「自分は○○(帰属先を表す名称)の人であること」を認めてもらいたいという矛盾を抱えて生きている。

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