オンラインサロンに金払う人が満たす心の奥底 「選ばれた自分」は物語に貢献して成長を果たす

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「これまでは世間的に知られている人の声が大きかったですが、今後はファンを持っている人が強くなると思います。自分のファンをいかにつくるかという点で、大事なのは物語です。僕のオンラインサロンでも、うまくいこうが失敗しようが、挑戦している時に会員が増えます。漫画やドラマと一緒で、1回上がって、ピンチや失敗があって下がって、底から再起する。このN字形を自分の人生でもやらないといけません。完璧な事業計画書を作っても、あまりファンは生まれません。あえて負けやピンチをつくることも大切なんです」(「西野亮廣氏、知名度よりファン大切 オンラインサロンの秘けつを語る」/福井新聞ONLINE/2019年8月17日)

ここで言及している「あえて負けや失敗をつくること」は、要するに「自作自演」であっても構わないことを示唆している。リアリティ番組がやらせに満ち満ちていることを知っていても、少しも人気が衰えないことからもそれは裏付けられている。重要なのは「物語を興ざめさせないこと」なのだ。負けやピンチが計画されたものか判別できないぐらいの迫真性を持っており、大きな危機を共有したメンバーが運命共同体のごときものになること、それがエンターテインメントとしての圧倒的な強度を生み出すである。

「直接参加の機会」がメンバーの自尊心を満たす

次に「直接参加の機会」は、「魅力的な物語への持続的な貢献」に不可欠なものである。

例えばオンラインサロンでは、オーナー主催のイベントにメンバーが「ボランティアスタッフ」として手伝うことができる仕組みになっていたりする。この構図を見聞きしただけですぐに「やりがい搾取」といった批判が噴出しそうだが、メンバー本人の「自尊心」をそこそこ満たすことができ、アイデンティティ活性化の一助になっているのであれば、他人がとやかく言う筋合いはないように思われる。

世の中にはお金を払ってでも「ある経験」をしたいという人々は必ずいる。そこには自分が尊敬している人物の役に立ちたい、参加することで成長したい等々の心理があるからだ。これを馬鹿にするのは簡単だが、あらゆる企業活動、グループ活動に潜在する欲求でもある。

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