大学入試共通テスト「地理B」必ず知るべきツボ

一夜漬けでは通用しない知識と理論が必要

生徒に「コメの生産量上位3カ国を書いてごらん」というと、多くの生徒は「中国、インド、そして迷ったあげくにタイ」と書きます。

コメはモンスーンアジアの主食ですから、モンスーンアジアの人口大国(中国約14億人、インド約13億人、インドネシア約2.7億人)をあげればいいのですが、生徒は雰囲気で「タイ(約7000万人)」を書いてしまいます。何の根拠もないのに「雰囲気」で。

Geography(地理)の研究対象はGeoです。地表に存在するもの、地表で生じることすべてです。

地表には位置や座標などの物理的空間があります。さらにその空間には地形、気候、土壌、植生などの自然環境が存在します。そしてわれわれ人間が生活をしています。生活には衣食住はもちろんのこと、農林水産業、鉱工業、商業、サービス業、医療・福祉、金融・保険、観光、運輸、情報・通信、不動産、飲食・宿泊、教育、公務などすべての経済活動が含まれます。

したがって、地理の学習内容は理系分野から文系分野まで多岐にわたります。地理以外の高校の先生方や予備校の先生方から「こんなことも地理で扱うんですか!」としばしば言われて思わず苦笑い。そうなんです。地理は地表の事物すべてを研究や学習の対象にするすごい学問・教科なのです。

高等学校の地理教育では、自然地理(理系の地理)で地形や気候の成因を学び、人文地理(文系の地理)では人の活動を学びます。そしてさらに具体的な地域の特性や関係性、法則性を学びます。何の関係性もないように思えることが、次々につながっていく醍醐味が地理にはあります。

そして地理はすべての教科を学ぶ際に有効な基礎学問であり、地理を学ぶことは人生を豊かにし、さらに実際の生活にも極めて役に立つ実学でもあります。

センター試験と共通テスト

センター試験でも以上のことに基づき良問が作成され、大問6(自然環境、産業、人口・都市・生活文化、比較地誌、総合地誌、日本の地域調査)、小問35~36で多くの地図、グラフ・統計表、模式図、地形図などの資料をもとに出題されてきました。

地理教育に携わる方の努力の結晶です。従来でも基礎的知識・技能、理論、思考力・判断力を要求し、多くの統計資料などを用いた出題がなされてきたのです。つまり、地理においては現在進行中の教育改革を先取りしてきたといっても過言ではないでしょう。

しかし、共通テストではよりいっそうの思考力や判断力が要求され、しかも解答を短時間で決定する決断力をも要求してきます。共通テストの分量、内容は、大問5(自然環境、産業、人口・都市・生活文化、地誌、地域調査)小問30程度が予想されます。小問が減るのは、複数の資料から判定させたり、会話文が長かったりなど、解答に時間を要する問題が増加するためです。

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