「コロナ不況」と「昭和恐慌」を同一視する危うさ 悲惨な歴史から私たちは何を学ぶべきなのか

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日に日に深刻の度が増している「コロナショック」。戦前の「昭和恐慌」のように、この先にさらに不幸な出来事が待っているのでしょうか(写真:Akio Miki/PIXTA)
新型コロナウイルスが日本経済に暗い影を落としています。2020年4~6月期の実質GDP(国内総生産)成長率は年率換算で▲27.8%(季節調整済み)と、戦後最悪の結果となっています。
こうした中、足元の「コロナショック」を、戦前の「昭和恐慌」と同一視する向きも出てきています。しかし、ジャーナリストの池上彰氏と増田ユリヤ氏は安易にこのような見方をしてしまうことの危うさを指摘します。
両者の共著『コロナ時代の経済危機 世界恐慌、リーマン・ショック、歴史に学ぶ危機の乗り越え方』から第3章を一部編集・抜粋して、お届けします。

不況のさなかに世界恐慌がきた日本

増田:1914年に第1次世界大戦が起こります。日本は当時、明治から続いてきた経済成長に翳(かげ)りが出て、景気が悪い状態が続いていたのですが、この戦争をきっかけに景気がよくなります。

池上:日本は連合国軍側について第1次世界大戦に参戦しました。意外に知らない人が多いのですが、海軍が地中海に派遣されて実際に戦闘に参加し、死傷者も出ています。ただ、戦場はヨーロッパでしたから、直接的に大きな戦いに巻き込まれることはありませんでした。

増田:ヨーロッパではこれまで経験したことのないような大規模な戦いが続いていました。そのヨーロッパに日本は物資を輸出することで、景気がよくなっていきます。

池上:アメリカと同じだよね。戦場になっていない国が、戦地になっている国々へ輸出することで好景気になった。他国の戦争で景気がよくなる。悲しいことですが、これが現実です。  

増田:戦争が1918年に終わると、反動が起こります。好景気にわいた日本はバブルのような経済状態になっていたのです。そのバブルがはじけます。

池上:アメリカより早く景気の後退が始まったわけですよね。

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