元特殊部隊員が語る日本の「自衛隊員」意外な強み 小説「邦人奪還」に見えるそれぞれのお国柄
成毛:これが1人分。自分の分だけ注文をしたわけですね。で、次の人が、「はいっ、じゃあ、俺も兄ぃと同じレバー炒めとサンマ塩焼き3匹と……」。それぞれがすさまじい量を召し上がる。
伊藤:はい……ここも誇張はありません(笑)ただ、カップ麺でお腹を満たすようなことはせず、タンパク質を重視するなど栄養配分をつねに考えて摂取するように心がけます。
成毛:摂取……(笑)。とにかく、食べ物のことは大切ですね。
伊藤:書いているほとんどにはモデルがいますし、ストーリーや物語設定は架空ですが、切り取った「部分」は事実なんです。その意味では、見たことをそのまま書いているだけだとも言えます。まあ、とにかくよく食べます。
食べるときに「お国柄」が出る
成毛:実際の訓練は厳しいでしょうから、食べないとやっていられない。
文中で、日米の陸海軍特殊部隊員による、即席混交チームでの訓練シーンが出てきますが、これはノンフィクションだと伝わらないところですね。お弁当のシーンはお国柄がよく出ていました。アメリカ人が弁当のサバを食べられないから、鶏のから揚げと取り換えてやった、なんて、実際にあったんですか?
伊藤:そんな気がします(笑)。アメリカ人はその辺が素直でして、「食べられない」といって残すようなイメージが強いです(笑)。ほかの国の人は、同じように魚が出ても特殊部隊ですからね、何も言わずに黙々と箸を使って普通に食べますよ。
成毛:どう食べるかもお国柄が出ますね。お酒を一緒に飲むこともあるんですか?
伊藤:ある国の特殊部隊員が日本に来たときに、「何が飲みたいか」と聞いたら「スタウトを飲みたい」とだけ言っていました。
成毛:いわゆる黒ビールですね。どの国の軍人かは想像ができます(笑)。
伊藤:飲める店をなんとか探して連れて行ったら常温、室温のを「これでなくちゃ」と、黙々と飲んでいました。「バドワイザーなんか飲めるか」とかつぶやきながら、歩けなくなるまで飲んでました。酒量もまた、特殊です。
成毛:日本マイクロソフトの社長時代、世界中の営業幹部が集まる会合がシアトルであったんです。15階の最上階レストランでつまみと飲み物だけが出たんですが、実際に失火があって警報が鳴り、避難しろということになったんです。国ごとにそれに対する態度が違って、お酒で現れるお国柄の話になると思い出すんですよ。最後まで飲んでいたのはドイツ人でした。それも避難階段の7階踊り場に座り込んで(笑)。