こうした、ちょっとしたビジネス的な発想で、草の根の活動の成果をもっと出していく、そして村にポジティブな変化を起こしていく、というのが「フィールド調査団」の面白みです。このイニシアティブは、現在、世界10カ国以上に展開しています。
協力隊は日本の隠れ資産!
長期的には、「協力隊フィールド調査団」の活動が世界中で広まって、隊員たちの調査結果や活動報告が、500件とか1000件くらいデータベースに集積され、簡単に検索できる形になれば、と思っています。途上国ビジネスに興味はあるのだけれど、なかなか現場に行くことができないビジネスパーソンや、開発学者たちも、デスクにいながらにして、村の“どぶ板現場情報”を手にすることができたら、状況はかなり違ってくるのではと思うのです。
また、途上国ビジネスに興味がある企業の方が、このデータを見ることで、ビジネスプラン創出のアイデア源になったり、自分のビジネスプランが村の実情に照らして現実的なのかどうか、チェックするツールにもなるでしょう。
日本の「隠れ資産」というのはたくさんあると思いますが、これから成長する世界の新興国の町々・村々に張り巡らせたネットワークを持つ協力隊というのは、戦略的な情報網であり、日本の大きな「隠れ資産」のひとつだ、と僕は確信しています。
協力隊は、これからの日本や新興国に貢献していく人材プールとしても可能性大です。頼る人のいない異文化に飛び込み、上司の指示も、業務マニュアルも、道しるべも何もない中、リーダーシップを発揮していく起業家精神に満ちた若者たちを、育てて、活かさない手はないでしょう。
「協力隊フィールド調査団」にかぎらず、この協力隊という戦略的資産から、どれだけの価値を出せるか、という発想も持って、協力隊を育てようという方が増えることを願いますし、個人的にも協力隊の活動に関して、引き続きエールを送り続けていきたいと思います。
※本稿は、執筆者個人の意見であり、世界銀行グループの公式見解を示すものではありません。
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