それを聞いて僕は、そうか、村で商売をしようとしたら、こういった村人の金融行動は、知っておかないといけないなあ、と心から感心したのでした。また、村でモノを売ろうと思ったら、実は、キャッシュを持っている遊牧民族がいいお客さんになるのかもしれません。
この経験を経て、どぶ板で市場調査するには、村に住んで、地元の人たちのことをよくわかっている協力隊員たちから話を聞くのがいちばん、と思うようになりました。
協力隊のすごい情報を、世界へ!
協力隊員たちと交流するうちに、彼らの持つ貴重な現場知識を、僕だけで独り占めするのはもったいないと思うようになりました。こういった現場情報は、アフリカでビジネスをしたい日本企業や、より現場で効果を出していきたい開発関係者たちにもきっと役に立つはずです。そこで、2013年に隊員の有志たちと一緒に、協力隊が持つ現場情報を発信する「協力隊フィールド調査団」という団体を立ち上げました。
隊員たちが、村の家計調査をやったり、農業や保健や教育など、それぞれの活動から得た学びを、わかりやすいプレゼンテーションやショート・ビデオにまとめて、フィールド調査団のウェブサイトを通じて発信していく、というものです。
また、僕自身が、学生時代にインドネシアでボランティアしていた際、村での活動が行き詰まったときに相談できる相手がいなくて困った経験があったので、隊員たちのメンター(相談相手)を買って出ることにしました。
僕のようなビジネスパーソンや開発の専門家など、外部のメンターたちが、隊員たちの活動にアドバイスをし、よりよい調査や発表ができるようにしているのです。
こうした活動の結果、どんどん面白い活動報告が出てくるようになりました。
例を挙げましょう。セネガル北部の農村で活動した澤田霞隊員は、貧しくて豆やお米しか食べていない村人たちの野菜摂取量を上げるため、村人に野菜の栽培方法を指導し、生産量を増やす活動をしていました。ただ、村は半砂漠地帯で、野菜を大量に育てるのは、簡単ではありません。
ところが、そんな厳しい環境の中で、彼女は、村の中で珍しく野菜をたくさん食べている家族を発見したのです。
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