ニッケイヘイキン号のもう一つの選択肢は、ワンテンポ遅らせて外に強引に進路変更して、ライバルを抑えた2着確保を目指すことだ。こちらは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による株式・外貨資産買いに相当する。タイミングは早ければ6月とも噂されるが、やれば当座は効果的だろう。
しかし、年金資金で株を買い上げることを経済政策に使うというのは、いわば「ラフプレー」であり、感心しない。効果は一時的だし、後でしっぺ返しがある公算が大きい。
また、馬の脚元にも無理が掛かる。GPIFは実質的に現在でも東証1部の時価総額の5%近い大株主だが、これをさらに買い増すとなると、いわば馬体が大きくなりコントロール(日本企業のコーポレートガバナンス)が劣化するし、その負担が限界に達したところで急減速する可能性がある。ニッケイヘイキン号は、GPIFが買っている間は、急な伸び脚を見せるかも知れないが、買いが終われば失速するのだ。来年には故障休養するかもしれない。
カギ握る、「GPIF」と「消費税率10%」
さて、比喩をもてあそぶのをやめて、筆者(今度こそ経済評論家だ)の予想と見解を述べよう。
当面、日銀に様子見されるので一進一退が続こうが、夏前くらいからGPIFの買い入れが現実味を帯び、一相場来る可能性がある。この辺りまでは、許容リスクに応じて株を持っていていい。投資家自身にとって、5点を強気の満点、3点を平均とするなら、3点〜4点に相当するくらいの株式ポジションを持っていても、いいのではないか。
しかし、秋に「消費税率10%決定」が確実視されるような状況になったら、そろそろアベノミクス相場の天井を意識してポジションを3点〜2点くらいに落として様子を見るのがいい。
年金資金で株を買うような事態になれば、「これに乗って買う」のではなく、「これをうまく使って利食おう」(気の利いたヘッジファンドが考えているのはこっちだろう)と考えておくのがいいだろう。早ければ、今年の夏から秋にかけてだ。
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