さて、直線に差し掛かったニッケイヘイキン号にはどんな選択肢があり、何着でゴールするのだろうか?
フェアな進路と黒い進路、黒田騎手の選択肢は3つ
加齢によってズブくなり、速い脚が使えなくなった古馬だが、久しぶりに調子が戻ってきたニッケイヘイキン号陣営のこのレースの目標は、いってみれば賞金を加算して秋のG1で出走権を得られる「2着確保」だ。
春シーズンの目標レースで直線の中ほどにいる今、選択肢は3つだ。
ムチを持つ黒田騎手は、スタート後に派手に出ムチをくれたものの、その後は想定勝ちタイム(「インフレ率2%!」)に向けて「平均ペース」を主張し、直線半ばまで仕掛けを見せていない。彼は、まだ追い出さずに「様子見」でいいと思っているようで、これが一つの選択肢だ。
本命のアメリカ号をマークしてきたニッケイヘイキン号はインコースを回って来たが、ここで仕掛けてゴールまで保つかどうか、黒田騎手には少し自信がない。追加緩和のムチ入れは、夏まで温存したいということだろう。
力があって調子もよい本命のアメリカ号は、好位から先に先頭に抜け出していて手応えが良く、イエレン騎手は抑え気味にゴールインしようとしているように見える。
ニッケイヘイキン号にとって、消費増税による馬場の悪化は、今のところ、予想されていたほどにはタイムに影響していない。このままのペースで行ってゴール前に軽く叩けば、流れ込みで2着があるかも知れない。だが、進路がふさがったり、馬場の悪化が効いて急にスタミナが切れたりする可能性もある。
二つ目の選択肢は、インコースを突いて「今」仕掛けることだ。つまり金融緩和を追加して「円安→株高」を目指す。一競馬評論家として(実際には経済評論家だが)筆者が推奨したいのは、この方法だ。
物価上昇期待を引き上げ、緩和の継続をより強く約束し、国債買い入れを追加することでこれらを裏書きすれば、さらに円安と株高にして、日本経済を前に進めることが出来るだろう。黒田騎手の腕っ節と掛け声に期待することになるが、これが最もオーソドックスな政策だと思う。
「足りなくなったら追加する」ではなく、「足りなくならないように前もって追加する」のがいいのではないか。景気・物価が予想以上に過熱する場合は、目標達成後に調節する余地がある。
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