年収を上げたい人に「MBA取得」推奨できない訳 MBA取得者が断言「実務には役立たない学位」

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やはり大切なのが人間関係。能力が第一とはいえ、「大学院ではお世話になりました」「またお目にかかれて嬉しいです」「今後もよろしくお願いします」と挨拶やお世辞の一つも言えない社会性に欠けるコンサルタントとは、あまりお付き合いしたくありません。

やってみなければわからないものの、社会性・積極性に欠けるタイプがいきなり独立開業して成功するのは困難でしょう。

自分の「能力」を過信してはいけない

もちろん、中には能力だけでなく、社会性・積極性もあり、「これはスゴイ」「将来が楽しみ」というMBA・中小企業診断士もたくさんいます。最近、私が相談を受けた事例を2つ紹介しましょう。

ケース1:前田さん(仮名)
現在コンサルティング会社に勤めている前田さんは、MBAで私の「新規事業のマネジメント」という授業を受けました。先日、前田さんから、小売店のDX化を支援する新ビジネスを展開したいので、ビジネスモデルの検証と顧客開拓についてのアドバイスをしてほしい、という相談を受けました。
ケース2:大西さん(仮名)
中小企業診断士の大西さんは、公的機関で診断指導を担当し、2年前に独立開業しました。先日、大西さんから、ビジネスを広げるために公的機関での経験をまとめてビジネス書を出版したいので、企画書についてアドバイスし、出版社を紹介してほしい、という相談を受けました。

こういう、率直に「アドバイスしてください!」と言える積極的で謙虚な人は、人脈とサポートの輪が広がり、成功する確率が高まります(運や根性も必要なので、絶対に成功するとは言い切れませんが)。

ただ数で言うと、冒頭の下山さんタイプのMBA・中小企業診断士のほうが圧倒的に多い印象です。学位・資格の力や自分の能力を過信し、「MBA・中小企業診断士を取った優秀な俺なら成功するはず」「なんとかなるだろう」と安易に考える人が後を絶ちません。

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