日中韓「想定外の人口減少」で直面する大問題 成長率低下で「中国の民主化」進む可能性も
少子化は、日本では1990年の「1.57ショック」から30年間続く問題です。この古い問題が最近、新たな展開を見せています。それは「想定をはるかに超える少子化の加速」です。
よく、経済学の人口論では「景気や技術革新はなかなか見通せないが、人口は長期にわたって正確に見通せる」と言われます。ところが、ここ数年、東アジアを中心に少子化が予想外に加速し、専門家による人口予測が大外れしているのです。
今回は、韓国・中国・日本における少子化・人口減少の動向とその衝撃的な影響について考えます。
韓国では今年から人口減少へ
いま韓国では、沈静化した新型コロナに代わって、人口減少が問題になっています。
韓国の合計特殊出生率(1人の女性が子供を産む数)は、今年1~3月0.90人でした。2018年に0.98と人類史上初めて1を割り込んで話題になりましたが、その後も政府の少子化対策の甲斐むなしく低下し続けています。
韓国では、昨年11月から毎月連続して死亡者数が出生数を上回り、人口が減り続けています。今年はついに総人口が減少に転じ、韓国の歴史に刻まれる年になります。
ここで問題なのは、少子化のスピードが専門家の想定をはるかに超えていることです。
韓国政府は5年おきに長期の人口推計を行っており、2016年の推計では、出生率と寿命を低く見積もる低位シナリオ(悲観シナリオ)で総人口のピークを2023年と予想していました。しかし、それからたった3年後に、悲観シナリオの想定より4年も前倒しでピークを迎えたわけです(韓国政府は2019年に臨時の人口推計を行い、2020年から人口が減少に転じると認めました)。
人口減少を見誤ったのは、韓国政府だけではありません。国連人口部も、韓国の総人口のピークを2024年と予想しています。韓国政府も国連も、にわかに信じ難い誤解をしているのです。
これまでも、英オックスフォード人口問題研究所(2006年)など多くの研究機関が「人口減で22世紀に地球上から最初に消滅するのは韓国」と指摘しました。その後の想定を超える少子化の加速で、最近は「韓国は2100年まで存続できるのか」という懸念が広がっています。
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