日中韓「想定外の人口減少」で直面する大問題 成長率低下で「中国の民主化」進む可能性も

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想定を超える少子化の加速は、韓国だけの問題ではありません。中国の合計特殊出生率は、公式発表では1995年から20年以上1.6台で安定していることになっていますが、米ウィスコンシン大学イー・フーシエン教授は、2010年から2018年までの平均が1.18だったと試算しています。

国連人口部の推計によると、中国の人口は13.9億人(2018年現在)で、2030年に14.6億人でピークを迎え、以後減少に転じます。しかし、ジョン・イビットソンとダリル・ブリッカーは、昨年話題になった『2050年世界人口大減少』で、国連の推計は楽観的すぎると批判しています。韓国での大間違いも併せて考えると、実際にはあと数年で中国の人口は減少に転じるでしょう。

現在は明らかな「人口減少トレンド」

日本でも、2019年の合計特殊出生率は1.36となり(2020年6月公表)、前の年1.42を0.06ポイント下回りました。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(平成29年推計)」では、中位仮定で合計特殊出生率が長期的に1.44になると推計していますが、早くも見込み違いが始まっています。

なお、厚生労働省は、0.06ポイント低下について「出生数は婚姻数に影響を受ける。去年は令和元年の節目で令和婚が増えたが、おととしは令和を前に婚姻数がこれまで以上に減っており、出生数の減少につながったとみられる」と分析しています。

この令和婚うんぬんという分析が間違いだとは言いませんが、これで4年連続の減少なので、明白な「減少トレンド」。こういう些末な話を持ち出すところに、厚生労働省の危機感の薄さを感じます。

では、「少子化と人口減少」の何がいけないのでしょうか。日本では、働き手が減ることによって、現役世代の負担に頼った年金・医療・介護が維持できなくなることが、決まって問題視されます。そして、年金・医療・介護が危機に陥るのは数十年先のことなので、この話題になると「まあ、長期的にしっかり対応する必要があるね」と“一件落着”します。

ただ、あまり話題になっていませんが、韓国・中国という関係が深い隣国の少子化・人口減少は、日本に甚大な影響を与えます。

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