新型コロナウイルスの影響で、企業の倒産が増えています。東京商工リサーチの全国企業倒産速報によると、4月の倒産件数は743件と、前年同月比15%増えました。
743件という数は、1500件を超える月もあったリーマンショック後2008~2009年の半分程度です。ただ、将来を悲観し廃業を選んだ企業が多数あるようですし(いわゆる“隠れ倒産”。廃業は倒産にカウントされない)、4月7日の緊急事態宣言から経済停止の状態が続いており、上場企業を含めて倒産が本格化するのはこれからでしょう。
ここで倒産を回避するために重要なのが、国・自治体による政策です。2月以降、緊急融資や持続化給付金などさまざまな支援施策が導入されており、今後も続きます。
しかし、過去を振り返ると、国・自治体の政策は副作用を生んだり、逆効果になることがたびたびありました。今回は大丈夫でしょうか。
国中を挙げて「とにかく倒産させるな!」の大合唱の中で見落としがちな企業支援施策の副作用・問題点と今後の対応について考えてみましょう。
「危ない企業はすべて救え!」が国の方針
2月以降、国・自治体は企業を支援する施策を導入してきました。融資・補助金・給付金・出資・減税など様々でまさに百花繚乱という感じですが、私の理解では目的・方針・手段はかなり首尾一貫しています。
方針:倒産の危機にあるすべての企業を救おう!
手段:融資・補助金など資金繰りの支援
3つのうち、方針「倒産の危機にあるすべての企業を救おう!」という私の理解には、異論もあるかもしれません。
緊急融資では、売上高の減少など経営状態の悪化の他に、「中長期的にみて、業況が回復し、かつ、発展することが見込まれること」(日本政策金融公庫・新型コロナウイルス感染症特別貸付)などが条件にされています。
持続化給付金でも、中小企業であること、売上高が減少していることのほかに、「今後も事業を継続する意思があること」が申請の条件になっています。どの施策にも一定の条件が付いています。
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