社員47人の出版社が100万部超を連発できる訳 サンマーク出版・植木社長が語るヒットの裏側
ミリオンセラー、8タイトルの秘密
――書籍は雑誌と同じく1996年にピークに達し、右肩下がりで市場が縮んできました。その中において、社員50人にも満たないサンマーク出版がミリオンセラーを8タイトルも出しているとは本当に驚異です。いったいどんな秘訣があるのでしょうか。
ヒットする法則があれば苦労はありません。ですから、そのようなものはないのが本当です。しかし、結果としてヒットした作品を分析すると、そこにはやはり共通点があります。詳しくは拙著にも書いたのですが、
② 心と体の癒し、健康に関わっている
③ それを読むことによって、読者自身が変われる
④ 田舎でも売れる本になっている
⑤ 女性に応援してもらえる本である
の5つです。「女性に……」はわかりにくいかもしれません。男性読者は感動してもそれで終わりのことが多いのですが、女性は感動したら知人に勧めてくれる伝播力のある人が多いのです。
そして、その5つを私なりにそしゃくして総合すると「病人のお見舞いに持っていける本」ということになります。逆は必ずしも真ならずですが、ヒット作にはそんな共通点があります。
――「それを読むことによって、読者自身が変われる」というのも大きなポイントだと。
僕も編集者出身ですけど、編集者には内容にほれ込んでしまうと、周りが見えなくなって突っ込んでいってしまうところがあるんです。それでもいい本が作れることはありますが、読者からすると「いい本でした」で終わってしまうことが多い。それでは、数万部は売れません。
いい本で、かつ、読者の生活や考え方、価値観、行動、大げさに言うと人生に変化を及ぼすような、そういう要素が非常に大切だと思います。そうなれば当然、口コミで広がり、感動の連鎖を生み、大ヒットにつながります。