日本株は、もう上昇しないのか? 負け組のロシア並みに停滞している株式市場

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この変化を軽視し、「消費増税は日本株市場に影響しない」との見方が、年初まで市場で流布していた。ただ、それが極端な楽観論だったということである。そう強弁していた市場関係者が株価の先行きに自信を持てなくなっていることが、足元で日本株市場がさえない一つの要因になっていると、筆者はみている。

日本企業の業績悪化への懸念は、今後和らぐ

それでは、このまま消費増税によって日本経済は失速し、日本株のダウントレンドはこのまま続くのだろうか?筆者は、そのリスクは小さいとみている。消費増税が、個人消費を中心に日本経済の及ぼす影響は無視できないが、経済全体を失速させる可能性は低い。

1月21日のコラムで書いたように、世界経済安定と円安による価格競争力回復で、今後輸出が日本経済のけん引役になるだろう。また、消費増税による消費抑制は避けられないが、一方で2013年に実現した「金融政策の大転換」の効果で、日本経済が長期にわたったデフレから抜け出す動きは広がっている。

企業、個人の多くは、「デフレ時代が終わりつつある」と認識しており、これが企業の設備や消費行動を積極化させる。つまり「お金の使い方」を大きく変えつつある。このため国内需要も底堅さが保たれ、増税による景気の落ち込みは深刻化しないだろう。であれば、日本企業の業績悪化に対する、現在マーケットが抱きつつある懸念は、今後和らぐだろう。

年初までの行きすぎた楽観論が一服し、日本株市場に対する慎重論が広がりつつある今こそ、投資機会の到来である。

村上 尚己 エコノミスト

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むらかみ なおき / Naoki Murakami

アセットマネジメントOne株式会社 シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、外資証券、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。

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