日本では過去20年余りデフレが続いてきた。この間、成長率が十分高まらず、日本人の経済的な豊かさが失われ続けた。
デフレこそ、「就職氷河期」や「少子化」の原因
アベノミクスの第1の矢である金融緩和政策は、デフレと経済状況を変える政策変更だ。この結果、2013年にインフレ率はわずか1年で水面下から浮上、幅広い品目に価格上昇が広がりつつある。もちろん、現段階では、日本銀行が目指すインフレ定着には程遠く、脱デフレの過程にあるにすぎない。
アベノミクスとは、実は2%の物価安定目標設定という、世界標準の金融政策が実現したにすぎない。だが、懐疑的な見方が、いまだに根強い。脱デフレのプロセスが進んでいる現状を苦々しく思っている人々が多くいるのだろうか。こうした思いを抱く方の多くは、先のコラムでも指摘したように、まず、インフレという経済現象の本質を誤解していることが多い。それは、輸入インフレでガソリンなどが上昇するなどのミクロの視点でしか、「インフレ」を考えられないことに基づく。
要は、経済全体を俯瞰的に考えることが大事なのだが、この視点でみると、デフレというのは経済全体で需要(消費や投資)が足りず、同時に労働市場でも需要が足りないことになる。つまり、働きたい労働者が職を得ることができず、新規に労働市場に参入する若年層が職を得ることが難しいということだ。
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