2013年のアベノミクス発動で、日本経済は1990年代半ばから続いた20年弱に及ぶデフレから抜け出す第一歩を踏み出した、と筆者は考えている。すなわち、アベノミクスの第一の矢である金融政策(日本銀行がほかの多くの国と同様にインフレ目標〈2%〉を掲げ、その実現のために金融緩和を強化したこと)が、「歴史的な経済政策の大転換となった」と認識しているからだ。
それでも根強い「インフレ転換懐疑論」
実際に、2012年11月を大底に、日本経済は個人消費を中心に回復。失業率や有効求人倍率も改善、日本経済全体に景気回復が及んでいる。行き過ぎた円高も解消され、企業業績も2014年3月期で見れば、前年度から約30%以上もの増益になる見込みだ。景気回復とともに、デフレ懸念が和らぎ、インフレ率もほぼ15年ぶりに水面下から浮上しつつある。
日本経済を映す鏡である金融市場も景色が一変した。年初から世界的同時株安で日本株も下落してはいるが、2013年の日経平均株価は、堂々、戦後4番目となる上昇率。アベノミクス発動前までは、主要先進国の中で、リーマンショック後に唯一下落基調をたどっていた日本の株式市場は、先行する米欧市場と肩を並べる程度まで上昇した。経済政策として脱デフレを掲げたことで、「日本経済は今後も一方的に衰弱が続く」のではという、市場参加者の強い悲観論が和らいだ。アベノミクスで、金融政策の大転換が実現しなかったらと思うと今でもゾッとする。
アベノミクス2年目の2014年を迎え、ほぼ1カ月半が経過した。当初は懐疑的だったかもしれないが、「アベノミクスが目指す脱デフレが進むと、同時に経済復活も成し遂げられる」という期待を持つ人が増えたのではないか。ただ、「アベノミクス2年目」を迎えたからか、過去1年の劇的な変化という現実を受け止められないのか、あるいは想定外だからだろうか、なおも約20年ぶりの「インフレへの転換」に懐疑的な見方は根強い。
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