インフレで、日本の起業精神は復活する なぜ日本では、いままで起業者が減少していたのか

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日本の起業家の代表格、ソフトバンクの孫正義社長。日本国内ではついにドコモを抜いた。eコマースでも中国のアリババと組んで世界一。起業は個人の力が大きいが、インフレになれば、起業をとりまく環境は好転する(撮影:梅谷秀司)

4月下旬に公表された最近の中小企業白書では、2012年時点の「起業希望者」は約84万人と、1997年の約167万人から約半分にまで大きく減少した、と分析されている(下表)。「起業希望者半減」と、センセーショナルに伝えたメディアもあった。

実際に起業して成功している、あるいは将来の起業を目指している人々は、日本での起業精神の冷え込みを嘆いたり、「日本経済の停滞の象徴」と喝破している。

「起業を目指す人と「起業した人」では雲泥の差

確かに、こうした記事だけで、「起業を目指す人が半減」と聞けばショッキングに聞こえるかもしれない。だが「起業希望者」とは、「自分で事業をいずれ起こしたい」と考える人である。

漠然と起業したいと考える人は相当いるわけで、実際に起業した人の数とはまったく異なる。例えば、97年には166万人起業希望者がいたが、実際、当時1年間に起業した人は28.7万人に過ぎない。「考えるだけ」の人はたくさんいても、実際に起業に至るには、相当ハードルがあるということである。

ちなみに、同じ調査では、実際に1年間に起業した人の数は、97年の28.7万人から、2012年には22.3万人と2割以上減っている。「思っているだけの人」は、かなりおり、「起業したい希望者」が半減したというよりも、デフレが始まった1990年代後半から、起業する人が減少し続け、15年間で20%以上減った事実が、事態の深刻さをより正しく表している。

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