実現へ高いハードル、法人税引き下げの帰趨

目指す着地点は税率25%。どこまで下げるのか

1月のダボス会議で冒頭演説を行った安部首相 写真:ロイター/アフロ

デッドラインは成長戦略第2弾を取りまとめる6月。安倍晋三政権に決断の時が刻々と迫っている。

現在、経済財政諮問会議と政府税制調査会で法人税改革が議論されており、甘利明・経済再生担当相は、3月下旬の会見で、「法人税引き下げの方向について、できるだけ具体的に書けるものは書いていきたい」と明言した。

今年1月、スイスで開かれたダボス会議で、安倍首相は「法人にかかる税金の体系も、国際相場に照らして競争的なものにしなければならない。本年、さらなる法人税改革に着手する」と述べ、法人減税に強い意欲を示している。

首相の念頭にあるとみられるのは、現行約35%の法人税率を10%引き下げ、韓国や中国並みの25%程度にすること。1%当たりの法人税収は約4700億円(国税、地方税合計)で、10%の引き下げならば5兆円規模。東日本大震災に伴う復興特別法人税の廃止を除くと、法人税の大型減税は、小渕内閣時代の1998年から99年にかけて国税分の37.5%を30%にして以来だ。

具体的な下げ方を占う手掛かりは、安倍首相の1月の国会答弁にある。「法人税率を引き下げていくと、本当に税収が伸びていくのか。もしそういう政策的効果があれば、もうちょっとダイナミックなアプローチがあるのではないか」。

つまり、税率の引き下げで経済が活性化すれば、税収増が期待できる。ならば、単年度の税収減にこだわらず、中長期的な税収増を見込み、思い切った減税に踏み切ってもよいのではないか、と解釈できる。

減税の効果に異論

政府税調内で法人税改革を議論するグループの座長、大田弘子・政策研究大学院大学教授は「今回は成長のための法人税改革だ。1兆円を減税するために、1兆円をどこかから持ってこないといけないのでは、大幅減税はできない。財源探しのような議論はしたくない」と話す。

経済界も「国際社会とのイコールフッティングや立地競争力強化の観点から税率引き下げは必要。税率を下げないと、課題先進国である日本には、海外直接投資も入ってこない」(経済同友会)と、大型減税に期待を寄せる。

2月の経済財政諮問会議では、伊藤元重・東京大学教授ら民間議員が「英国やドイツ、韓国では法人税率を下げても税収が増えた」と分析したペーパーを提出した。ドイツは課税ベース拡大、韓国では経済成長、英国ではその両方が税収増に寄与した。日本はマイナス成長と課税ベースの縮小が響き、税収が減少したと説明している。

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