法人減税の機運は高まっている

政府税制調査会法人課税DGの大田弘子座長に聞く

おおた・ひろこ●1976年一橋大学社会学部卒。生命保険文化センター研究員、大阪大学経済学部客員助教授を経て、96年に埼玉大学大学院政策科学研究科助教授。2001年より政策研究大学院大学教授。02~05年に内閣府に出向し、参事官、大臣官房審議官、政策統括官(経済財政分析担当)を務める。06~08年の安倍、福田両内閣で内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)。主な著書に「改革逆走」「経済財政諮問会議の戦い」など。
今年6月にとりまとめが予定されているアベノミクスの成長戦略第2弾。その柱の一つになると目されているのが、法人税減税だ。現在、35%程度の税率をアジア近隣諸国並みの25%程度まで引き下げることを目指している。だが、10%ポイント引き下げの実現には、約5兆円(1%あたり4700億円)の財源確保や既存の政策減税の改廃など、さまざまなハードルが予想される。
6月までにどんな議論を進め、どこまでの税率引き下げを目指すのか。政府税制調査会内で法人税改革を議論している部会(ディスカッショングループ、DG)の大田弘子座長(政策研究大学院大学教授)に聞いた。

大きかった安倍首相のダボスでの発言

――今年4月から消費税率が8%に引き上げられ、来年10月にはさらに10%への引き上げが予定されています。そんな折に、なぜ法人減税なのでしょうか。

将来の雇用を生むためには企業が日本国内にないといけない。国内に成長企業を少しでも多く残し、海外から企業を呼び込むことが目標だ。これだけ経済がグローバル化すると、企業が国を選ぶ時代になっている。企業はまず、自分の国に立地するのか、海外に行くのか。海外ならどの国に(拠点を)置くのかを考える。

どの国も、(企業の)立地場所としての環境をなるべく魅力的にする。なおかつ税収も上げないといけない。このジレンマの中で法人税改革を行っている。これはドイツもイギリスもアメリカも同じだ。だから、日本もグローバル化の中で、法人税がどうあるべきか、真剣に考えないといけない。

もう一つ重要なのは、税率を単に下げるのではなく、同じ税負担であっても、誰がどう負担するのかであり、なるべく広く薄く負担するのが望ましい。

いま法人税を負担している企業は全体の3割程度しかない。資本金1億円以上の企業は全体の1%だが、ここが税収の6割を負担している。これはいくらなんでも偏りすぎだ。さらに、租税特別措置も、旧来型産業に有利なものが残っている。こうした点を見直す。そうすることで、新しい産業分野が興りやすくなる。

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