アベノミクスが「試練の春」を迎える。
現在のアベノミクスには、「あるけれども、実行されていないもの」と「はじめからないもの」の二つの欠落がある。
前者は、いわゆる第三の矢で、規制緩和を中心とするはずだった成長戦略だ。これは、政策として大切だが、もともと実現が期待できるものではなかった。官僚と既得権の壁は厚い。また、効果が出るとしても時間が掛かるものが多く(例外は後述)、「成長戦略がないから、景気は腰折れするし、株価は上がるはずがない…」という意見は、気持ちは分かるが、タイム・スパン的に当を得ていない。
一方、もともと欠落しているのは、再分配政策だ。年金、生活保護などの制度を総合的にリフォームすることをはじめとする再配分政策は、政策パッケージとしてのアベノミクスに入っていない。
これは、別途取り組むべき重要課題だが、安倍内閣の動きは鈍い。ただし、こちらも当面の景気や市場の動きに、直ちに影響するものではない。
金融緩和(第一の矢)は、やった方が良かったし、効果が出た。また、財政出動(第二の矢)は、一時的なものだが、ここまでのところ景気の下支え効果を持った。
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