この状況で直面しつつある試練は、以下の3つだ。
まず、4月に行われる消費税率の引き上げだ。
先般の春闘は、労働組合よりも内閣が経営側に賃上げを働きかけるという異様なものだったが、あのトヨタで2700円(組合要求は4000円)という渋さから見て、所得の伸びは、消費税率アップ(3%)と物価上昇(今年は1%くらいか)に、とても追いつきそうにない。
別の二つの問題は、海外要因で、ウクライナ情勢の影響と、中国経済の減速だ。ロシアはクリミア半島を何としても勢力下に置くだろうし、米・欧は、直接衝突を避けたいとしても、これを認めるわけにはいかない。その帰結は、経済制裁の長期化だろう。また、軍事的な緊張が高まるたびに円が買われる公算が大きく、これは日本経済と株価にとって重荷だ。
中国では、「理財商品」に関わる何らかのデフォルトが避けられそうにない情勢に見える。先般の「全人代」(全国人民代表大会)で、対策が打ち出されなかったことは、市場の失望につながった。
安倍政権が、河野談話見直しを撤回したことは、中・韓両国との緊張が緩和される点で、経済的には好材料だが、海外には心配な要因が多い。
次の一手候補は3つ。本命は・・
新年度の景気・株価を巡る状況は厳しい。政府・日銀は、何らかの「次の手」を用意しているはずだ。問題は、「次の手が何なのか」の予想と、その手に対する評価だ。
出てきそう、という順番で、馬券予想風に列挙すると、◎(本命)「公的年金を使った株式・外貨資産買い」、○(対抗馬)「金融緩和拡大」、▲(穴馬)「法人税率引き下げ」、だ。
従来なら、第二の矢を拡大して、公共事業中心の財政支出が大本命になるところなのだが、建設労働者の減少や資材の高騰などで、事業の執行に物理的な制約が出ている現在、ここを積み増すことの効果は疑問だ。
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