法人減税の機運は高まっている 政府税制調査会法人課税DGの大田弘子座長に聞く
――引き下げる税率のメドとして、アジア近隣諸国並みの25%という数字が挙がっています。
それは望ましい税率ということですね。できるものならやりたい。税率だけ言うのは簡単だ。
――無責任ですか?
税率から入る議論のやり方もあるのだろうが、問題はどのようにして下げるか。最後には具体的な税率も言えたほうがいいとは思う。税のあるべき姿として、何%くらいを目指す。それに向かって、こういうステップでいきます、と。しかし、政府税調がここから議論することは、いかに下げるかということで、単年度で税収中立の議論をする気は、もともとない。
――5月のとりまとめ時に、どんな税率が出るのでしょうか。
それはまだわからない。今までの委員の中からも、目標税率を掲げて、それに向けてどのようにするか、ということを示すべきだ、という人ももちろんいる。私も、目標やそこに至るステップを常に考えないといけないとは思うが、税調として、今は(目標税率は)出せない。
目標とする税率は簡単にはいえない
――でも、目標とする税率がないと、議論を推進する力が出ないのではないですか。
わかりますよ。ただ、私は法人税改革の難しさはよくわかっているつもり。だから、気楽には言えない。本当にこの問題は総論賛成、各論反対なんですよ。
税率を下げることに基本的に反対は出ない。それはいいことだという。積極的に下げるべきだという人と、下げられる範囲でという人と、いろいろあるが、誰も反対しない。だけど、じゃあどこかから(減税の)財源を持ってこよう、となったときには、もう、反対ばかりなんですよ。一方で、国債を増発して減税しろ、という人もいない。みんなよそから持ってこい、という主張になるんですよ。
だから、最後にどうなるかは、そう簡単には言えない。いま出ている議論は税率ばかりなので、中身がなさ過ぎる。政府税調は中身を議論する。まずは中身を詰めていきたい。