日本株市場の停滞が続いている。4月28日のコラムでは、日本株市場が負け組のロシアと同様のパフォーマンスで、その背景は、昨年末までマーケットで楽観視され過ぎていた「消費増税の悪影響」で、企業業績下振れが懸念されていると分析した。1月21日のコラムでも紹介したように、楽観論者の思惑と異なり、消費増税は日本経済にとっては「大逆風」で、残念ながら2014年の日本の株式市場の重石となった。
日経平均1万4000円台は、魅力的な水準
一部の投資家は「今回の消費増税は、日本の景気回復を頓挫させ、2014年度の企業業績が減益に転じる」と考えているようだ。だが、これまで述べたとおり、筆者は、「それほどの影響はない」と現段階で考えている。つまり、消費増税は「大逆風」だが、生まれ変わった日本銀行による金融緩和の景気刺激効果が本格化し、今2014年度は、企業の設備投資が拡大。そして家計消費の大きな落ち込みは回避されるとみている。
このように考えている筆者にとっては、日経平均株価1万4000円台前半から半ばの水準は、魅力的にみえる。
特に予想外の日本株の弱さに直面し、市場では悲観論ばかり聞かれるようになっている現状だからこそ、おいしい投資機会に思えてしまう。実際には、5月後半になっても日本株の停滞が続き、米国や新興国株との格差が広がり、膠着感が強まっている。筆者が想定している、日本株市場の本格的なリバウンドは起きていない(上グラフ)。
日本株の膠着感が強まっているのは、主に外部要因に求められるだろう。国内では消費増税による反動減が想定通り、とメディアで報道されているが、問題は「反動減後の回復の持続性」であり、現段階では判断しようがない。海外市場に目を移すと、5月に幅広く安全資産である国債が買い進まれ、米国の10年国債の金利は5月15日には2.5%を下回った。新興国危機と米国の景気減速懸念が強まった2月初旬よりも、さらに長期金利が低下する状況になった。
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