筆者の見方と異なり債券市場では、国債の金利低下が続いているわけだが、この動きを招いた一つのきっかけは、ECBによる追加金融緩和への思惑だろう。欧州の景気指標は悪くないが、欧州のデフレリスクが懸念される状況は、世界的な景気停滞を意味し、それなら長期金利の低下余地がある、という解釈だ。
長期金利低下は、いつまでも続かない
そして、FRBのテーパリング開始への期待から、2013年後半に起きた長期金利上昇がそもそも行き過ぎていた、という思惑を浮上させているのかもしれない。あるいは、テーパリングを粛々と進めるFRBの政策判断が間違いで、米景気の減速が続くため、2%台の長期金利水準は正当化されるという考えになるだろう。
ただ、先に示したような、各国の経済指標の動きを冷静にみれば、この見方は筆者には悲観的過ぎるようにみえる。米経済は、雇用、企業景況指数の改善に加えて、2014年に入ってから銀行貸し出しの伸びが大きく拡大するなど、量的緩和による景気刺激効果が強まる兆しもみられる。
長期金利低下のトレンドがどのタイミングで終わるかは、正直わからない。だが時間の問題ではないだろうか。6月初旬のECB理事会において、追加金融緩和はほぼ市場コンセンサスになりつつある。理事会のイベントを通過し、ECBの金融緩和に対する思惑が落ち着けば、市場の視点は米国の底堅い景気指標に移る可能性がある。これをきっかけに、日本株はこう着状態から抜け出すかもしれない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら