そもそも日本企業は、90年代のバブル崩壊後、「3つの過剰」に苦しめられてきた。「設備の過剰」「債務の過剰」、そして「雇用の過剰」の3つである。
「雇用の過剰」は日本企業のアキレス腱
たしかに、日本企業の多くは1990年代から2000年代はじめにかけて厳しいリストラを断行し、「3つの過剰」を解消する努力を行ってきた。
その結果、多くの日本企業は石油ショックなどの外的ショックに耐えられる「筋肉質な体質」へと転換した。キャッシュフロー重視の健全経営を志向した結果、「設備の過剰」と「債務の過剰」はコロナ前までは限定的だったといえる。
しかし、「雇用の過剰」はいまもって大きな課題であり、日本企業のアキレス腱である。
企業が「雇用責任」を果たし、「社会のセーフティネット」になることによって、日本という国の失業率は比較的低く抑えられてきた。しかし、ポストコロナにおいて、日本企業に「雇用の過剰」を抱え込んでいる余裕などない。
コロナ・ショックにより、「世界経済は大きく縮む」ことになる。そのインパクトは私たちの予想を大きく超えるだろう。
経済活動の再開によって、少しずつ需要は回復しているように見えるが、一度蒸発した需要はそう簡単には戻らない。当面はコロナ前と比較して「30%エコノミー」「50%エコノミー」を想定せざるをえない。その先においても、しばらくは「70%エコノミー」が妥当な予測だろう。
それぞれの会社は、まずは「縮んだ経済」に合わせて、身を縮めるしかない。生き残るためには、痛みを伴う施策を断行せざるをえない会社も出てくるだろう。
例えば、日産自動車は生産能力を540万台にまで減らすと発表した。2028年には720万台だったものを、4分の3にまで縮めることになる。日産はコロナ以前から、業績不振により構造改革を進めていた。2019年7月に生産能力を660万台に減らすと発表したが、「コロナ・ショック」によって120万台の追加削減をせざるをえない状況に追い込まれた。
こうした経済活動の縮小によって、「不要な人」がいっきに増えることになる。世界経済や日本経済が堅調であれば、「不要な人」を救う手だてはあるかもしれないが、中長期的な経済の低迷が予測されるなか、「いらない人」を抱えているだけの体力が日本企業にはなくなりつつある。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら