今の「NHK」は公共的役割を果たしているのか 公共性を芸術と同じ観点から分析してみた

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NHKが番組を放送するうえで、本当に受信料という「公費」を払わなければならないのか。CMを入れてはいけないのか。インターネットの配信では駄目なのか。これらの問いは今後、NHKにますます重くのしかかってくるはずです。

もちろんNHKは現行の放送法で広告収入を得ることが禁じられているので、放送法の改正は当然、必要です。インターネット同時配信サービスが普及した時点で、黙っていても放送法の改正を求める声が視聴者から上がるでしょう。

受信料の約1割が徴収に当てられるムダ

NHKは「公共放送」という名のもとに、「受信料を払わない人はNHKを見なければよい」というスクランブル放送を求める意見も、頑なに拒否しています。

『「NHKと新聞」は噓ばかり』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

しかしインターネットが中高年層にまで普及しはじめた現在、テレビを見ない人の数は増える一方です。結局どちらの主張が優るかは、考えるまでもありません。

受信料やハードを通じた課金が現実的に困難になることを考えれば、最もニーズが高く収益化が容易なのはインターネット広告です。よしんば国民から受信料を取りつづけるとしても、収入の柱を広告収入に転換することで、受信料の徴収コストは劇的に低減します。

2017年度のNHK受信料収入6889億円のうち、徴収コストは735億円で、収入の1割超が契約や徴収の経費に費やされています。735億円ものお金を無駄な費用と思えないとしたら、やはり常識的な経営の感覚から逸脱している、といわざるをえません。

高橋 洋一 政策工房会長/嘉悦大学教授

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たかはし よういち / Yoichi Takahashi

1955年、東京都生まれ。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省(現・財務省)入省。プリンストン大学客員研究員時代、のちにFRB議長となるベン・バーナンキ教授の薫陶を受ける。内閣府参事(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官、内閣参事官(総理補佐官補)などを歴任。2007年に財務省が隠す国民の富「霞が関埋蔵金」を公表し、一躍、脚光を浴びる。2008年、退官。現在、大学で教鞭をとる

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