TBSの「再放送」にハマりまくる中高年の目線 昭和の番組で掘り起こされたテレビの新需要

✎ 1〜 ✎ 31 ✎ 32 ✎ 33 ✎ 最新
拡大
縮小
東京都港区にあるTBS放送センター。コロナ禍でドラマの撮影が困難になりテレビ各局、過去作品の再放送を続けている(写真:yama1221 / PIXTA)

コロナ禍によって新撮が困難になったテレビ業界において、いち早く積極果敢に、自局のドラマ・アーカイブ(過去作品)を活用し、話題を呼んだ局がある。それがTBSだ。4月以降、TBSの再放送ドラマが軒並み話題となったのだ。『恋はつづくよどこまでも』『下町ロケット』『ノーサイド・ゲーム』『逃げるは恥だが役に立つ』など、最近のヒットドラマの再編集版を次々と放送(以下、関東地区での放送に基づく)。

この連載の一覧はこちら

特に「恋つづ」こと『恋はつづくよどこまでも』の再編集版『恋はつづくよどこまでも胸キュン!ダイジェスト』の平均視聴率は10.6%(ビデオリサーチ、関東地区)と二桁を記録したという。TBSのドラマ・アーカイブ活用はさらに過去にさかのぼり、2009年、2011年放送の『仁-Jin-』や、1995年の『愛していると言ってくれ』の再放送を展開。リアルタイム層を懐かしがらせつつ、新規層も取り込んでいるようだ。

これらの再放送が話題を呼んだ理由として、まずは「もう一度見たい」というニーズの高い作品を選んだことがあるが、加えて、単なる再放送ではなく、新しい企画を組み込んだ編集が奏功したことも挙げられよう。「逃げ恥」こと『逃げるは恥だが役に立つ』では、新垣結衣と星野源による「リモート恋ダンス」企画が、また『愛していると言ってくれ』では、豊川悦司と常盤貴子の「リモート同窓会」企画が組み込まれた。

最近ではなく昭和のTBSドラマに勝機

さらには、TBS社内に、自社のドラマ・アーカイブへの自信と、その自信に基づいて、積極的に2次活用していこうという機運が、元々あったのではないか。それゆえ、コロナ禍を迎えるにあたっての再放送を、早期に決断できたと考えるのだ。

かくいう私(53歳)も、この3か月間、TBSのドラマ・アーカイブばかりを見ていた。ただし先に書いたような、最近のヒットドラマではなく、もっと昔の、昭和のTBSドラマばかり見て、感心・感動し続けていた。そんな中で感じた新しいビジネスチャンスこそが、今回の本題である。

まずは、BS12トゥエルビでこの4月から放送されている『ムー一族』(1978年)。月曜日に2本まとめて放送されるという変則的な再放送なのだが、これがめっぽう面白い。久世光彦のプロデュースで、郷ひろみ、樹木希林、伊東四朗らが出演する、やたらと実験的なホームドラマ。実験性の最たるものは、ドラマにもかかわらず、数回に1回の割合で生放送(!)を試みるのである。

次ページ当時とは違う感慨で視聴する『金八先生』
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT