TBS日曜劇場の「再放送」がこんなにも緻密な訳

再編集で「イッキ見」、苦肉の策に新たな価値

コロナ禍で、テレビドラマは新たな価値を生み出しつつあります(東洋経済オンライン編集部撮影)

5月初旬、NHKはなんとリモートでドラマを制作するという冒険に挑戦しました。リモートドラマシリーズ第1弾として放送された1話目は、見ているのがかなりつらく実験の域を出るものではありませんでしたが、2話目は竹下景子、小日向文世の存在感と演技にも助けられなかなか良いものでした。

そして3話目は柴咲コウ、ムロツヨシ、高橋一生と猫が入れ替わるという『君の名は。』のような設定ですが、これはもう十分おもしろい!テレビの新たな可能性を見せつけてくれるものでした。こんな実験は、経済がシュリンクする中でも安定した受信料収入に支えられているNHKにしかできないものです。

新型コロナの収束が見えず緊急事態宣言が延長され、民放テレビ局も対応に追われています。バラエティー番組は総集編や名場面集などでは足りず、感染防止と制作を両立させるためリモート出演で乗り切るなどさまざまな努力が行われています。

ニュースや情報番組も感染防止のため、局内に出演者がいるにもかかわらずスタジオ外の別の場所から出演させたり、出演者の自宅からSkypeなどを使ったリモート出演をしてもらうなど、スタジオ内の人数と密度を抑える工夫をしています。しかしドラマは無理です。各局とも撮り溜めているものがなくなると、同シリーズ過去番組の再放送などで切り抜けようとしています。

ドラマは再編集で圧縮された濃密な内容に

民放テレビ各局が苦労する中で注目しているのがTBSのドラマ再放送です。TBSは4月スタートの新ドラマすべての放送予定は未定となったままで、過去番組の再放送を続けています。

たとえばTBSの日曜劇場枠は、TBSの中でも旗艦ブランドです。テーマも軽い恋愛ものは少なく、普遍的で重厚なものがほとんど。キャスティングも制作費もほかより贅沢に使われるのですから、おもしろいのは当然ですが、今回の再放送のおもしろさは別のところにもありそうです。

放送延期になっている「半沢直樹」の原作者である池井戸潤氏原作の過去のドラマ「下町ロケット」や「ノーサイド・ゲーム」の再放送は、2時間枠3回の中に、初回拡大版なども含め全10話分を再編集し、大胆にカットして詰め込んでいます。この圧縮された濃密な内容がとてもいいのです。

普段のドラマの感覚で見ていると、大切なセリフを聞き逃してしまったりするので、とにかく集中して観ていなくてはなりません。スマホなどをいじりながらでは話の展開についていけなくなり、CMになるとやっと気を抜くことができます。これほどCMタイムがありがたいと感じたのは久しぶりです。

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