「コロナ離婚」を回避するために今できること 自粛期間で「夫婦だけの時間」が増えたが…

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しかも、その働き方もこれからは大きく変わっていきます。ですから、早いうちから積極的に自分のコミュニティーを築く必要があります。また、組織の中で管理職などの立場だと、必然的に周りから気を遣ってもらえたり、大切に扱われることに慣れてしまい、家庭でも、ほかのコミュニティーでもその感覚が拭えずに、偉そうな態度がにじみ出て、周りの人から少しずつ排除されてしまうこともあります。

ご本人は配慮しているつもりでも、長年培われた習慣は態度や言動に表れ、なかなか変化させることはできません。こうした自分の居場所がない寂しさからも、より妻への依存が強くなる傾向にあると思います。

依存が強くなるということは、相手との距離が近くなることでもあり、ある意味、執着です。

夫婦関係もさることながら、どんな人間関係もある一定の距離感があることが心地いい関係性を作っていく条件の1つです。近すぎると、自分と相手との境界がわかりにくくなり、相手をコントロールしたい支配欲求にさいなまれます。そして、自分の思いどおりにならないと、ことさらに怒りや悲しみを覚えてしまうものなのです。自分の世界と相手の世界を切り離せなくなることが大きな問題です。

お互いが自律し、意思を確認し合える関係性に

親子関係にもこの問題が多く見られることがありますが、夫婦の場合はもともと他人ということもあり、ある一定の距離を保つことが何よりも大切なことになってきます。距離感は精神的なものと物理的なものが存在しますが、そのうち精神的なものが大きく影響します。

しかし、目に見えない精神的な距離を保つのは至難の業です。距離感は、ご夫婦によってさまざまだと思いますが、いずれにせよ、お互いの距離感の感覚をすり合わせていかないとトラブルが起きてしまいます。それが、束縛と感じたり、威圧と感じたり、放任と感じる元になるからです。そのギャップが大きくなればなるほど、相手と一緒にいることが苦しく感じるようになってしまいます。

パートナーを自分の自由を奪う相手としてうっとうしく思ったり、さらには憎みながら夫婦生活を続けていくのはやはり寂しくつらいものです。

お互いを尊重しつつ、よりよい関係性を模索していくためには、まずは、お互いが自律すること。そうでないと相手と対等になることは不可能です。そのうえで距離感を、勝手な思い込みや想像ではなく、きちんとお互いが意思疎通して確認していくことが大切です。また、家族構成や健康状態により変わるものなので、いつも同じ距離感である必要はありません。だからこそ、面倒がらずに随時確かめていくことが必要です。

人との距離感は、トライ&エラーを繰り返しながら、折り合いをつけていくものです。さまざまな人たちと適切な距離感でつながれる力こそが、夫婦関係はもとより、安心して豊かな日々を送ることができる大きな要因です。これからの人生、孤独や孤立を招かぬよう、何かに強く依存するのではなく自律し、周りとの適度な接点を見出し、身近な関係性をよりよいものにしていきましょう。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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