公立校とインター校「ネット教育格差」の背景

「教える」に対する取り組みがまず違った

私の会社レノボでは、自身がIT企業ということもあり、テレワークの実施率は連日90%以上になっていました。つまり3月以降は、家族全員が毎日家にいながら親は仕事、子どもは勉強という環境が実現していたのです。こうした環境にあったので、4月21日段階で日本全国のオンライン授業が5%という数字に驚いたわけです。

なぜインターナショナルスクールではこのような素早い取り組みができたのでしょうか。フェアな見方をすると、まず組織が小さいので意思決定が単純ということはあります。次に海外の学校ではコロナ以前からオンライン授業がかなり広まっていて、PowerSchoolやseesaw classroomのような教材をつかった授業や評価方法など確立したものがあるので、先生たちの参考になる事例が豊富だったこともあると思います。

日ごろからの授業のスタイルの違いも理由の1つになっているのではないかと思います。私は香川県の琴平町で文部科学省の国際交流員(CIR)として教育委員会に勤めていた経験があり、この経験とインターナショナルスクールに子どもを通わせる親として、海外流と日本流両方の学校のスタイルを見ています。

teachingはせいぜい小学校まで

日本語で言う「教える」を英語で言うと何でしょうか。teachingでしょうか。teachingというと教科書を読んでその内容を覚えさせる、というまさに「教える」です。

しかしteachingというスタイルが主流なのはせいぜい小学校までで、中学からは「guidance」と言ったほうがいいでしょう。グループワークが多く、その中で互いにクリティカルシンキング(批判的思考)などを身につけさせます。

この中学生以降の「教える」の概念が日本とかなり違うところで、生徒は先生に反論することを奨励されます。先生の説明に対し懐疑的な目を持ち、反論を試みる。当然そのためには問題の本質について考える必要があり、先生が困るような質問はいい質問というわけです。以前このコラムで説明した「Good Question」の原点はここにあるといってもよいでしょう。

高校になると、生徒はしっかり自分で考える習慣ができていますので、先生の役割はteacherというよりはtutor(個人教師)というイメージで、生徒の個別の質問に回答する形になり、自発的にどこまで勉強するかは生徒の責任と考えます。

このように、「教える」というニュアンスはいくつもの英語をカバーしています。英語と日本語の意味がカバーする範囲の違いはそのまま考え方の違いが反映されている場合が多くあります(このコラムが実は「日本語と英語のギャップ」をテーマにした連載であることを忘れてはいけません)。

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