NTTの規制緩和をめぐり、三者三様の舌戦

ソフトバンク孫社長は怒りをあらわに

また、孫社長は2010年に持ち上がった「光の道構想」(2015年までにブロードバンド利用率100%を目指す政府の構想)の議論も持ち出した。「当時、NTTはわれわれに任せてほしいと主張したが、現在の光回線の利用率は48%にとどまっている。これは約束違反ではないのか」などと厳しく批判した。

これに対し、NTT東日本の中川裕副社長は、コスト負担の問題を説明した上で、「志を同じくする事業者が一緒に借りて、あとで回線を分ければいい」などと発言。孫社長が「もう我慢ならん」と怒りをあらわにする場面もあった。

KDDIは1回線ごとの貸し出しに反対

NTTグループの規制緩和に関しては、ソフトバンク同様に反対しているKDDIだが、光ファイバーの貸し出しについてはNTTと同じ立場に立つ。というのも、KDDIはNTT東日本や西日本と同様、自ら設備を保有して、光回線サービス「auひかり」を展開しているからだ。

「これ以上の値下げが続けば、競争について行けず、われわれ固定系の通信事業者はやっていけない。ソフトバンクは固定事業をやっていないので賢い判断だが、日本に光回線の設備事業者がいなくなっていいのか」と田中社長は訴える。

通信業界に詳しい野村総合研究所の北俊一・上席コンサルタントは「(1回線ごとの貸し出しについて)設備競争をしてきた事業者は反対だろう。自前で整備するより安く借りることができてしまうからだ。1回線ごとの貸し出しによって事業者を増やせば結果的にユーザーも増えていくと思うが、結論がどうなるかは判断が難しい。だから前も先送りになった」と話す。

光ファイバーの貸し出し問題は、2000年代後半からずっと議論され、そのたびにソフトバンクの主張は跳ね返されてきた。今回もそう簡単には実現しないだろう。

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