NTTの規制緩和をめぐり、三者三様の舌戦 ソフトバンク孫社長は怒りをあらわに
NTTのあり方をめぐって、通信事業者の議論が白熱している。総務省は現在、世界最高レベルの情報通信基盤の整備を目指して、「2020年代に向けた情報通信政策の在り方」を情報通信審議会に諮問している。その中に設置された通信市場の政策見直しに向けた特別部会で、通信事業者へのヒアリングがスタート。4月15日にはNTTグループ(NTTとNTTドコモ)、KDDI、ソフトバンクの代表者が出席した。
今回の大きなテーマとなりそうなのが、NTTグループに対する規制緩和だ。特別部会で具体的な話し合いが始まる前から「総務省はNTTグループによるスマホと光回線のセット割引の解禁を検討している」と一部で報道され、KDDI、ソフトバンクなど65社は公正な議論を求める要望書を提出している。
15日のヒアリングでは、NTTの篠原弘道常務とドコモの吉澤和弘常務が「ICTを手段として新しい価値を生み出す時代に入り、さまざまな事業者との自由なコラボレーションが不可欠になっている」などと説明。NTTは現在、電気通信事業法上の規制で、特定の事業者を優遇した連携ができないが、こうした「禁止行為規定」の撤廃を主張した。
これに対し、KDDIやソフトバンクは猛反発。KDDIの田中孝司社長は「規制緩和を進めればNTTの独占回帰になってしまう」と話し、孫正義社長も「いつものガス抜きの議論、出来レースはやめていただきたい」などと発言した。
光ファイバーで激論
今回のヒアリングで、最も意見が飛び交ったのは、NTTによる光ファイバーの貸し出し問題だ。NTT東日本と西日本の光回線のシェアは合計で7割超(2013年3月末時点)と圧倒的。両社は、ほかの事業者に光ファイバーを貸し出す義務があるが、その際、1回線ごとではなく、8回線(光ケーブル1本分)を一括で提供している。そこにソフトバンクの孫社長が噛み付いた。
事業者がNTTから光ファイバーを借りて光回線サービスを展開する場合、必ずしも8回線すべてが必要なわけではない。8回線一括で借りると余分なコストがかかってしまい、採算が悪化するというのが、孫社長の主張だ。光ファイバーの普及を促すためにも1回線単位で貸し出し、新規参入を増やして競争を加速させるべきだとし、「新幹線のチケットが8枚セットじゃないと買えない。そんなバカな話があるか」などとまくし立てた。
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