NTTセット割解禁なら暗黒時代へ逆戻り KDDI田中社長が規制緩和に猛反発
ただ、具体的な議論が始まる前から「総務省はNTTグループによるスマホと光回線のセット割引の解禁を検討している」(現在は電気通信事業法で規制されている)との報道が一部でなされた。これに対し、KDDIとソフトバンク、イー・アクセスなど通信事業者65社は、「解禁されては競争が促進されない」として、公正な議論を求める要望書を総務省に提出するなど、議論の行方に注目が集まっている。
セット割引「auスマートバリュー」を武器に顧客開拓を進めるKDDIにとってもNTTグループの規制緩和は一大事だ。携帯業界のあるべき競争環境とは、そしてKDDIは今後、どのような成長を目指すのか。田中孝司社長に聞いた。
――ライバルとも協力して総務省に要望書を提出した。
本来、事業者へのヒアリングから論点を抽出していくのが順序。しかし、新聞報道が先行しているので、非常に気になっている。2020年に向けた議論なのに、NTTのセット割引解禁など、まるで規制緩和が論点であるかのようなトーンだ。NTTのあり方についての議論は、ドコモを持ち株会社から外そうとしてスタートしたものだが、現在も持ち株会社はドコモの株式を保有している。今回、携帯でナンバーワンのドコモと、光回線でナンバーワンのNTT東日本、西日本のサービスとの連携ができるようになって、しかも会社の形は何も変わらない。もし、こんな方向で決まるとすれば、変な感じがしませんか?
セット割が解禁されれば、日本は独占回帰の暗黒時代に戻ることになる。われわれは設備競争をすることで、日本を発展させ、2020年の東京オリンピック開催に向けて世界に恥じない通信インフラを作っていきたい。
ドコモのシェアが東西のシェアに近づく
――NTTのセット割を解禁した場合、どのようなことが起こるのか。
ユーザーは高いシェアの会社に引きずられていく。NTT東西は光回線で72%のシェア(13年3月末)を占めており、そのお客さんはドコモに乗り換えるだけで料金が安くなる。つまり、ドコモの45%のシェア(同)は72%に向かっていくことになるだろう。これはもう一度、大NTTの時代に戻るということだ。政府が株式の3分の1以上を保有する会社の姿がこれでよいのだろうか。
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