就活生のコロナ影響、これからがむしろ本番だ インターン中止や採用減で22年卒生は逆風か

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就職みらい研究所の調査によると、5月中に就活生が面接など対面での選考を受けた割合(複数回答)は2020年卒の71.5%から2021年卒は21.4%に減少した一方、Web上で面接を受けた割合は、4.7%から52.5%と急上昇している。さらに、説明会や一次面接だけでなく、「最終面接まですべてオンラインで実施」する企業が増えている。

6月1日。この日から選考活動を始めた損害保険ジャパンは、最終面接まですべての面接選考をオンラインで実施することにしている。この日も約500人の面接を実施、中には、面接担当者が在宅勤務のまま面接を行うケースもあった。

「オンライン面接は海外にいる留学生との面談等で使った実績はあるが、新卒の選考会で使うのは始めて。3月ごろから対面との両にらみでWeb面接の検討をしていた。緊急事態宣言が解除されたが、安心、安全、健康を最優先で考えて実施に踏み切った」(損害保険ジャパン人事部人材開発グループの中満隆行リーダー)

明るさや背景などのWeb面接で配慮必要

一方、学生にとってはWebでの面接が「当たり前」になってきている。損保ジャパンの採用面接に臨んだ日本女子大学4年の女子学生は、「5月ごろからWeb面接を重ねているので少しずつ慣れてきた。直接会ったほうが私自身の思いを伝えられるかもしれないが、思ったよりも普通に面接ができているので安心している」と語る。

ただ、学生はこれまでになかった配慮も強いられている。明るい場所を選んだり、背景を壁やカーテンにしたりして、部屋の様子があまり見えない場所を選ぶ工夫をしている。神奈川県の大学に通う就職活動中の大学4年生は、「面接はリビングのテーブルで、家族にも外に出てもらって臨んでいる」と、Web面接での対策を語ってくれた。

また、音声が途切れて話が聞き取れなくならないよう、電波状況がよい場所で面接に臨む学生も少なくない。人材サービス会社のある人事担当者は「Web環境のよしあしを選考の判断に使うことはないと伝えるようにしている」と語る。損害保険ジャパンでも、万が一通信環境が途絶えた場合には、電話等で面接を続けるといった対応策をとっていた。

コロナの影響は、これから就職活動がはじまる2022年卒(現大学3年生、大学院1年生)のほうが甚大かもしれない。なぜなら、会社訪問の機会があまりないまま就職活動を進めていく必要があるからだ。

「今年はインターンシップを行わず、Webでの説明会や仕事体験に終始する」。今、そんな企業が相次いでいる。2019年までは夏休みを使って、インターンシップを開催し会社で数日から1~2週間程度の就業体験を行う企業が多かった。しかし、「企業からオンラインでどう展開していくのがいいかという相談が多い」(採用支援企業の担当者)という。

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