「自分は不幸」と思う日本人がやたら多い不思議 1人あたりGDPが国際的に高くても幸福感は低位
前回までの記事で紹介した収入やワインの限界効用のグラフと似ています。つまり、このグラフから見た本書のタイトル「年収が増えれば増えるほど、幸せになれますか?」への答えは、収入が増えるとある程度不幸になりにくくはなるけれども、収入が少なくても幸せになる方法はあるということです。
ここまで見てきたように、先進国間で比べると、1人あたりGDPと幸福度は相関があるものの、1人あたりGDPが小さくても幸せな国はあります。国の特徴が影響しているのです。
日本が奇妙なのは、半世紀以上もかけて1人あたりGDPは右に向かって増えたのに、縦軸の幸福度は上がっていないということです。生理的欲求と安全欲求が極めて高いレベルで満たされているにもかかわらず、「まだ足りない」「もっともっと」といって、自ら不幸に陥っていることです。それが「幸福度ランキング58位」という悲しい結果を招いています。
このままだといくら日本が今後、1人あたりGDPが増えても、幸せにはなれないということです。
考えてみれば、今の日本人は、江戸時代の殿様よりずっと恵まれています。電気もガスもあるし、娯楽もたくさんある。インターネットでいろんな人とつながれるし、世界中を旅することもできる。
400円の牛丼をどう感じるか
食事だって、江戸時代の殿様が食べていたものより、コンビニエンスストアで買ってきた弁当のほうがおそらくおいしいと思います。もし、江戸時代に持っていったら、「こんなすごいものは食べたことない!」と驚かれるでしょう。
日本の食事のレベルは、海外と比べても本当に高いと思います。アメリカのセブン–イレブンに行くと、そのことがよくわかります。失礼ながら、日本人が見ると、まずいパン、甘いだけの巨大なケーキ、干からびたサラダに驚きます。
日本人は幸せを感じるのが下手になっているようです。本当はもう十分幸せなのに、そのことに気づいていない。
牛丼を食べて、「こんなにおいしいものがたった400円で食べられるなんて、自分はなんて幸せなんだろう」と感じるか、それとも「400円の牛丼しか食べられないなんて、自分はなんて不幸なんだろう」と感じるか。これをどう感じるかで、幸福度は決まるのです。
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