「自分は不幸」と思う日本人がやたら多い不思議 1人あたりGDPが国際的に高くても幸福感は低位

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物質的な面でも、インフラの面でも、恵まれた暮らしを享受しています。なのに、なぜ日本人は「もっと多くの財産があれば幸せなのに」と思ってしまうのでしょうか。

理由の1つとして、日本人の生まれ持った遺伝子が関係していると考えられます。

別名「幸せホルモン」と呼ばれる、セロトニンという神経伝達物質をご存じでしょうか。このセロトニンが脳内から減ると、人は不安を感じたり、気分が落ち込んだりしやすいと考えられています。

セロトニンの分泌量を左右するのが、「セロトニントランスポーター遺伝子」です。この遺伝子にはセロトニンの分泌量の少ない「S型」と、分泌量の多い「L型」の2種類があり、その組み合わせによって、「SS型」「SL型」「LL型」の3つに分かれます。

不安を感じやすいかどうかは生まれつき

SS型の遺伝子を持っている人は不安を感じやすい人、LL型の遺伝子を持っている人は楽観的な人、SL型はその中間ということになります。不安を感じやすいかどうかは、ある程度、生まれつき決まっているのです。

調査によれば、日本人の遺伝子はSS型が65%を占めています。SL型は32%、LL型はたった3.2%にすぎません。一方、アメリカ人は、SS型が19%。SL型が49%、LL型が32%という結果が出ています。

つまり、日本人は不安を感じやすい民族なのです。「もっと多くの財産があれば幸せなのに」と思う人が多いのは、日本人が強欲だからではなく、心配症だからなのでしょう。

「老後2000万円問題」があれだけ論議を呼んだのも、そのせいでしょう。マスコミが煽ったこともあって、心配性の日本人は冷静な判断ができなくなってしまった。

「なんとかなる」と考えられないのが、よくも悪くも日本人です。

では、なぜ日本人は心配性のSS型が多いのでしょうか。いろいろな仮説を立てることが可能だと思いますが、1つの考え方は、災害の多さが関係しているという説です。地震、津波、台風、火山など、日本は「災害大国」として知られています。もし、「なんとかなる」と楽観的にかまえていたら、いざというときに対応することができません。災害から自分や家族の身を守るために、日本人は不安遺伝子を育ててきたのです。

ただ、災害をある程度、事前に予測し、克服できるようになった今、過剰な心配や不安は必要なものではなくなってきています。むしろ幸せの足を引っ張るという弊害が目立っています。遺伝子に刻まれた、生まれつきのこの性格を、変えることはできないのでしょうか。

学術的には、性格は大雑把に言って半分くらいは後天的に変わると考えられています。人間には生まれつきの遺伝子を乗り越える力が備わっていることを、忘れないでいただきたいと思います。

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