現在の状況をまとめると次のようになります。
遅れた進度を取り戻すため、カリキュラムを消化しなければならないが、学校では授業が十分にできないため、家庭で学習してもらう
【家庭の立場】
まだ習っていない新しい内容は、結局は親が面倒見ることになるが、こんな量はとてもできない
このように2つの立場によるギャップが今回のご相談のケースを生み出していると考えられます。
学校側は、3月であれば復習問題でしのぐこともできましたが、4月以降は新学年のカリキュラムを進行しなくてはいけません。ICTのインフラ整備が不十分なため、その力を借りて授業を進めることも難しく、先生たちも日々混乱した状況にあると想像できます。
一方、家庭の側では、全国各地でさまざまな状況にあると思いますが、前出のデータによれば、授業の態勢が十分にできていないため、家庭内でプリント等を大量消化するという状況に追い込まれていることも少なくないことでしょう。
マニュアルのような宿題が大量に
筆者が先日拝見したある公立小学校が家庭に出したプリントには、次のようなことが書かれていました。
まるで先生の授業進行表のように、「何月何日に何をやるか」というスケジュールが事細かに書かれ、そのとおりにやるようにと指示がされていたのです。
例えば「漢字の成り立ちを調べましょう」「①の問題を解いて丸をつけましょう」「10ページから12ページの音読と漢字の練習をしましょう」というように。日付ごとにびっしりと詳細に書かれたマニュアルのような印象を受けました。ここまで具体的に示されれば何をしたらいいのかという不安は解消されますが、問題はその内容と量が適切かどうかということです。
宿題の量が多いのか少ないのか、感じ方は人によりけりで、主観的な問題ではあります。しかし、5時限目や6時限目まで、全科目でやるべきことが、それぞれ細かく書かれているケースを、この例に限らずいくつか見てみた結果、多くの場合で量が多く、毎日これらを家庭でこなしていくことは、非常に難しいと感じました。
これではさすがに困ると、学校の先生に相談をした保護者の方々もいました。ところがほとんどの方が、先生からは「できる範囲でやってください」と言われるのだそうです。
「できる範囲」というのはとても曖昧な言葉です。保護者たちはさらに困惑し、疑問に思ってしまったそうでした。
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