インド人にとって日本の食生活はとてつもないストレス--日本企業が日本国内でインド人を雇用する場合の注意点
なぜそうなってしまうのか、その背景を勉強、理解しておくだけで、解決できることもあるかもしれません。
--インド人はなぜストレレスを感じるのですか?
背景にはインド人の宗教があります。一般の日本人は、日常の中に宗教的な概念を持って行動することはあまりありません。しかし、インド人にとっては日常生活の中のあらゆるところに宗教が入り込んでおり、習慣、行動規範の中心になっています。
インドでは、8割がヒンズー教徒、1.5割がイスラム教徒、残りの5%がカトリック教徒、シーク教徒、ジャイナ教徒、仏教徒、ゾロアスター教徒、などその他です。一般的に、ヒンズー教徒は牛肉を食べず、イスラム教徒は豚肉を食べません。
もちろん、アメリカや日本での生活が長い人のなかには、「マクドナルドや牛タンが好き、日本のビーフカレーはおいしい!」という変わったインド人もいますが、それはかなりの少数派だと考えてください。
典型的なインド育ちのインド人は牛肉や豚肉を食べません。そのため、インドでの肉メニューは鶏肉や羊の肉が一般的です。また、ベジタリアンの場合は羊や鶏肉も食べません。インド人の6割程度がベジタリアンだと言われています。このベジタリアンを「べジ」と呼びます。残り4割のベジタリアンではない人のことを「ノンベジ」と呼びます。
またべジタリアンでも、魚もダメ、卵もダメ、という人もおり、海の魚はダメだが、川魚ならOKなど、「境界線」の基準には個人差があり、われわれ日本人にとって理解するのは難しいところです。ただ、牛乳やバターなど、乳製品についてはどのインド人もOKで、多くのインド料理にはバターが使われています。
--なんだか聞いただけでたいへんそうです。では、昼食をご一緒しようかといったときに、インド料理店に連れて行くしかないのでしょうか。接待が必要なときはどうすればいいですか?
インド料理店は非常に無難で間違いない選択かもしれません。でも、どこでも手に入れられて、かつインド人が食べることができて、好んで食べるものは(野菜の)サンドイッチなどです。それにコーヒー、牛乳、紅茶などをつければ問題なく食べていただけるはずです。