「コロナ下での就職」、有利なのは大企業なのか 「旬なキーワード」に飛びつくのが一番ダメだ

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とはいえ、歴史を振り返ってみると、「その後」を考えずに旬なキーワードに飛びつき、結果的に将来のキャリア展開に大きくつまずいてしまった人であふれているのも事実です。

一部の未確認情報に振り回され、「サラリーマンなんてダサい」と進んでフリーターになった氷河期世代の中には、いまだにそのサラリーマンになりたくてもなれずに苦労している人が多くいますし、外資系、外資系と騒いでいた学生たちはリーマンショックでその価値観を覆され、ソーシャルゲームブームに沸いて自分の市場価値を見誤り高給で転職してしまった人は、その後大幅な給与減なくしては仕事が見つからない状態に追い込まれたりしてきたものです。

確かに、現状のようなとくに社会に大きな変化が起き、なおかつそれが不安定要素である場合は「寄らば大樹の陰」とばかりに大きな企業や安心そうに見える企業に行きたくなる気持ちになる人は多いでしょう。

ただし、本当に現代の世の中においてずっと現状のまま安泰な企業なんて存在するものでしょうか? その前提自体が非常に怪しいと思いますし、実際に大きな経済危機のさなかには大企業の倒産は大幅に増えるものなのです。

自分たちが生きているのが、そういった時代であるという認識のもと、どこかに「所属すること」で安心感を得るのではなく、いかにこの世をサバイブするか、を考えるべきなのです。

優先するべきはどんな自分になっていくか、何をするか

そう考えると、優先するべきはどこに所属するか、ではなく、どんな自分になっていくか、です。

つまり、どんな会社に入るか、ではなく、何をするか、が重要なのです。企業を取り巻く事業環境などがここまで急変する時代に私たちは生きているわけですから、特定の企業に所属することの価値観や安心感は短命に終わると考えざるをえません。であるからこそ、いかに自分個人としての経験とスキルを磨くかが重要であり、この不確実性で支配された世の中をサバイブする手法を身に付けることを何よりも優先するべきなのです。

「自分は◯◯の専門家です」「◯◯については任せてください」。そういった形でどこにいっても通用する自分の「名札や値札」をどれだけ持つことができるか。それこそが各職業人がいちばん考えるべき事項です。

もはや「前職は◯◯という会社でした」が通用する時代ではありません。具体的付加価値を個人として提供できるかが問われる時代です。

まだ大学生ということなので、職業人としてはこれからかと思いますが、長い人生において「自分はどの分野で勝負すべきか」をまずは考えてみてください。その結果として、その分野における経験とスキルを磨くにいちばん適している会社はどこか、と考えるべきです。学生と社会人の違いは、やることやすべきことに関して、誰かがカリキュラムを組んでくれるのではなく、自分自身で考え、自分ならではの人生のカリキュラムを組まないといけないという点です。

そしてその人生のカリキュラム作成は仕事を選ぶ段階からすでに始まっているのです。

であるからこそ他人がよいと思う会社や皆がよいという会社ではなく、自分がよいと思う職業を見つけてみてください。

大学生Aさんが長期の職業人生の一歩を踏み出すにあたって、周囲の短期的なノイズに惑わされずに、ご自身の価値観に基づき判断し、最初の一歩を歩みだされることを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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