世界各国が、新型コロナウイルスによる都市封鎖の解除に動き始めている。それぞれの基準を設けて、その範囲内で段階的な解除を模索。各国によって政策判断はさまざまだが、世界に共通しているのは「検査を徹底して陽性者を隔離する」「医療崩壊を防ぐ」そして「段階的な解除の徹底」と言っていいだろう。
一方の日本の感染症対策は、「検査を強化して感染者を徹底的に隔離する」といった感染症対策の基本が徹底されているようには見えない。しかも法的根拠なしで国民1人ひとりの自粛に「お願いベース」で対応する感染症対策が続けられている。休業補償金や給付金といった政府の財政的な負担も相対的に少ない。仮に、このまま感染症が収束していくのであれば、画期的な感染症対策であり、それを提唱した厚生労働省の専門家会議は国際的に喝采を浴びるかもしれない。
ただ、この方法の欠点は感染者の実態が正確に把握できないために、都市封鎖の解除タイミングを計ることが難しく、経済の回復に時間を要しかねないことだ。日本経済が致命的なダメージを受ける可能性も出てきている。
致命的なダメージがどの程度で済むのか、またどの程度のリセッション(恐慌)を覚悟すべきなのか――。感染症の収束と経済再開のバランスについて考えてみた。
大恐慌を上回る景気不況の到来か?
新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以降、世界経済は大きなダメージを受けており、その証とも言うべき統計の数字が徐々に明らかになってきている。いくつか紹介すると次のような数字が報道されている。景気の先行指標の1つである「PMI」に絞ってみてみよう。
PMI(Purchasing Managers' Index)とは、その調査対象によって異なるが、簡単に言えば「景況感指数」のこと。日本では「購買担当者指数」とも言われるが、将来的に景気が良くなるかどうかを消費者やセクター従事者などに、直接聞いた調査統計のことだ。50を切れば景気が悪くなり、50を上回れば景気が良くなる、と言う景気先行指数のひとつである。(PMIはマークイット調べ、4月の最新の数字)
●中国……サービス業PMI=44.4(財新)、製造業PMI=49.4(同)
●イギリス……サービスPMI=13.4(CPIS)、建設業PMI=8.2
●イタリア……サービス部門PMI=10.8、製造業PMI=31.1
●スペイン……サービス部門PMI=7.1、製造業PMI=30.8
●ドイツ……サービス部門PMI=改定値16.2、製造業PMI=34.5
●フランス……サービス部門PMI=改定値10.2、製造業PMI=31.5
●インド……サービス業PMI=5.4、同製造業PMI=27.4
●韓国……製造業PMI=41.6
●スウェーデン……サービスPMI=39〈Silf/Swedbank)。製造業PMI(同)=36.7
●ユーロ圏……サービス業PMI=11.7、製造業PMI=33.6
●日本……サービス業の事業活動指数(PMI)=21.5、製造業PMI=41.9
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