寒くなる秋以降、感染爆発の第2段がやって来ると予想されている。それまでにワクチンや治療薬の開発が済んでいる可能性は低く、その時にまた医療崩壊を発生させてはならない。国際的に信用を落とすとともに経済的なダメージは今よりもっと大きくなるはずだ。
大恐慌もしくはそれを上回る規模の経済不況が予想される今回の新型コロナウイルス不況だが、感染拡大が断続的に起こることを考えると、経済と感染症対策の両方を同時にやっていく以外に方法はなさそうだ。しかし、パンデミックの特徴や歴史を考えると、ワクチンや特効薬が見つかるまでは、経済よりも感染症対策を優先するのが望ましい。
このままズルズルと緊急事態宣言が継続するようなことになれば、倒産件数は想定をはるかに超える数字になる可能性がある。現実問題として、企業倒産件数は現在128件に達している(東京商工リサーチ調べ、5月8日現在)。4月に入ってからは87件、5月に入ってからも月間100件ベースで増えるだろうと報道されている。
さらに日本の場合、最近多いのが休廃業による撤退だ。2019年の企業倒産件数は8383社だったが、休廃業・解散した企業は4万3348社に上る。
失業率は過去最悪で10%を超えるかもしれない
戦後、日本の完全失業率はITバブル崩壊後の5.4%(2002年)が最悪だが、今後はひょっとしたら10%を超えて、10人に1人、あるいは7~8人に1人が失業者になる時代が来るかもしれない。
就職氷河期時代を犠牲にすることで、団塊の世代など既存の労働者がその地位を守り、日本の雇用は守られてきた。しかし、今回の新型コロナ恐慌ではどうなるのか見当もつかない。日本の雇用統計の管轄も厚生労働省だ。感染症対策と雇用対策がひとつの省庁に統合されているが、今のところ統合されていることで得られる相乗効果が成果を上げているようには見えない。
日本の場合、今回のパンデミックによって社会のデジタル化の遅れが目立った。とりわけ、政府機関などの行政の現場でのデジタル化が進んでいないことが明らかになった。企業でも、テレワークができる企業はごくわずかで、日本のガラパゴス化が露呈してしまった。
現在のままの経済政策や価値観を維持し続けた場合、景気回復どころかさらにひどい景気後退を招く恐れもある。今回のパンデミックは、日本が変わる大きなチャンスとも言える。むろん、テレワークができない業種も数多くあるが、少なくとも決済に印鑑を必要とする制度は変えていくべきだし、デジタル化の進展は日本の無駄を排除してくれる。
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