インド、スペインのサービス業、イギリスの建設業を見ても、その数値の異常さがわかるだろう。インドの4月のサービス業PMIはわずか5.4。都市が封鎖されて、経済が停止しているわけだから当然だが、50を切れば不況と言われる景気指標で、その数値がわずか1ケタということは、ほとんどの人が景気悪化を予測していることになる。現在の状況がいかに特殊なものであるか理解できる。
PMIはあまりごまかしようのない統計と言われており、その国の統計の正確な状況が分かる。中国のPMIは新型コロナウイルスに勝利した雰囲気が高まっているために、高い数値になったとみていい。日本とアメリカは、先行きも見えないのに20台を維持しているが、その根拠は過去の自信か、もしくは現状が把握できていないかだ。世界は、リーマンショックをはるかに上回り、1930年代の「大恐慌」クラスの不況に陥る可能性を強く警戒している。
出口戦略までの日本の遠い道のり?
日本の新型コロナウイルス感染対策は、集団免疫ができるまで隔離政策を実行しないスウェーデン方式とも異なれば、PCR検査を繰り返して感染者を隔離し、さらに都市封鎖する欧米やロシア、韓国などの方法とも異なる。
そういう意味では日本の感染症対策は特異であり、今後は国際的にも明確な説明責任が問われるはずだ。日本の感染者数や人口当たりの死亡者数、陽性率などがなぜ低いのかを説明できなければ、いくら厚生労働省が感染者数ゼロになったと宣言しても、国内外でそれが信用されるかどうかが問題になってくる。
日本は早期に感染者が見つかったにもかかわらず、PCR検査も十分にしてこなかったのに、なぜか感染爆発が起きていない。死者数、感染者数ともに極めて少ない。「日本の奇跡」と呼ばれる現実だ。
ただ単に「日本は奇跡でした。もう感染症は収束したから観光やビジネスで日本に来てください」と言う理屈で国境をオープンにしても、自国で何万人もの死者を出した苦い記憶を持つ外国人が素直に日本の主張を信じて、日本にやって来るだろうか――。今後、確実に起こると言われている第2次、第3次感染爆発に対しても、日本はどう対応するのか。その部分を明確にしないと国際的な信用は得られない。北朝鮮で感染者ゼロと言っても、誰も信じないのと一緒だ。
一足先に、社会的距離を保ったままの規制解除が実施された韓国では大型店舗などに人々が集中し、「リベンジ・ショッピング」と呼ばれる爆買い現象が起きた。国内旅行もソウル-済州島の乗客は普段の2倍に増えたとされる。その反面で、ソウルのクラブでは新たなクラスターが発生し、いわゆる濃厚接触者は7600人にも上ると言われる。
さらに、最も重要なのが「打撃を受けた経済の回復シナリオ」だ。1人当たり10万円の給付をやっと決めた安倍政権だが、5月末まで緊急事態宣言が解除されないようなことになると、日本企業は深刻な事態を迎えることになる。
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