東京都の感染者数の集計システムが、いまだにファックスをベースにしていたことも驚きだが、こうした弊害は高齢化社会と関係がある。デジタル化社会への知識や理解のない役員や従業員が数多く残っている現状が、日本をガラパゴス化している。企業内高齢化を一掃するのは今しかチャンスがないのかもしれない。
今回のパンデミックによって、その波は先進国だけではなく発展途上国もデジタル化への歩みを進める。日本が遅れれば、さらに国際競争力は弱まることになる。
住宅ローンが支払えなくなって自己破産したり、企業が莫大な負債を抱えたまま倒産したりするシナリオは、最終的に金融不安へとつながっていく。不況の最終章は金融危機であり、その上のフェーズでは国家が破綻の危機を迎える。
リーマンショックでも、最終的にはギリシャショックが起き、チャイナショックで締めくくった。「ジャパンショック」を起こさないためにも、事前の準備が必要だろう。といっても、あまり方法はないのだが、本来国債の金利よりも、社債など企業の金利のほうが高い現象は、財政破綻の兆候と言われてきたが、日本の場合ずっと以前からそういった状況に陥っている。
今回の新型コロナウイルス禍では、アメリカは3兆ドル(約320兆円)、ドイツが1兆1000億円(約130兆円)の大型の財政支出を決めたが、日本も117兆円となっているものの、その中身はいわゆる真水で最大30兆円にも満たない。
それでも、政府は財政の支出に極めて消極的で、金利上昇やインフレにおびえている。リーマンショックの時はインフレすら起きなかった。財政支出を拡大しても、本当にインフレは起きないのか。その問いに対する答えは今回のパンデミックを乗り切れるかどうかにかかっている。
「日本の奇跡」を信じていいのか
欧米などに比べて感染者数や死者数が少ないことについて、「日本人は衛生的だから感染症にかかりにくい」とか、本来の感染症対策とは違う部分で「日本の奇跡」が語られることが多い。とはいえ、感染者数が少ないとか、死亡者数が少ないといったデータは、PCR検査が十分にできていない中で、正確にわかるかというと疑わしい面が残る。発展途上国並みの検査体制で開き直る政府もどうかと思うが、安易にメディアの報道を鵜呑みにするのも危険だ。
過去、日本政府は経済的な危機に陥ったときには放置して、ぎりぎりの状態にならないと動かない政策を繰り返してきた。それが、現在の国際競争力を失った日本につながっており、感染症対策もまともにできていない。そんな危機感を持ったほうがいいのかもしれない。
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