【鎌田浩毅氏・講演】一生モノの勉強法(中編)

アカデミーヒルズ「『一生モノの勉強法』実践講座」より
講師:鎌田浩毅

前編からの続き)

●火山の論文を理解してほしいのは、少数の学者ではなく富士山周辺の30万人

 もう一つ大事なことは、教養です。私は火山の専門家ですが、専門としてだけでは勝負していません。火山学者ですから、もちろん地球の勉強をしました。火山で論文を書きました。火山学会で理事をして、それなりに認められました。しかし、それだけではダメなのです。なぜなら、それだけでは社会の役に立たないからです。たとえば、私は火砕流の論文をいくつか書きましたが、その論文を読む人はどのぐらいかというと、世界に500人ぐらいです。国際火山学会が出している雑誌があって、そこに載せないと科学者としては認められないのですが、載ったとしても実際には500人ぐらいしか理解しないわけですね。しかし、私が理解してほしいのは、富士山の周りにいる30万人ぐらいの人です。有珠山、雲仙普賢岳、その周りに住む何万人という人に、これから噴火が起きることをきちんと理解してもらって、逃げてもらわなければいけないのです。
 その時に必要になるのは何かというと、コミュニケーションの技術です。ただ英語の論文を国際火山学会誌に出して学者500人に読んでもらっても、誰も逃げないわけですよ。そうではなくて、講演会をしたり、テレビに出たり、本を執筆したりして火山学を一般の方に伝えて、自分の身を守っていただく。そういった形で情報を提供するコミュニケーションの技術がないと、私の研究は生かされないわけです。

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